日本の重金属による汚染事件 | 健康トピックス

日本においても、ヒ素、メチル水銀、カドミウムといった重金属による汚染事件が起こっています。

ヒ素による事件

ヒ素というと、最近では和歌山のヒ素カレー事件がありましたが、過去には、1995年に森永ドライミルクによる中毒事件がありました。

粉ミルクである森永ドライミルクに、品質安定のために点かされていたリン酸水素二ナトリウムに、その製造過程において触媒として使われていた亜ヒ酸が混入してしまい、脳性麻痺や知的発達障害、てんかんといった症状が起こりました。

被害者は約13000人にも上り、130人以上もの死者が出た非常に重大な事件で、日本の食品安全において、食品添加物の安全性や食の安全が問われる大事件で、この事件をきっかけて、食品添加物公定書が刊行されるようになりました。

メチル水銀による事件

メチル水銀というと、水俣病を連想する人も多いと思います。

1956年、熊本県水俣市でメチル水銀による中枢神経障害が出ましたが、その原因が、現在チッソ、同時は新日本窒素肥料という会社の水俣工場が、アセトアルデヒドの生産過程で触媒として使っていた流加水銀に由来するメチル水銀が、水俣湾に流れ出て、そこの魚介類によって生体濃縮が起こり、これを食べた沿岸部の住民に四肢末端の感覚障害、運動失調、求心性視野狭窄、聴力障害、平衡機能障害、言語障害などの中枢神経障害の被害が出ました。

症状は、有機水銀を使用する労働者に見られた有機水銀中毒症とよく一致していて、ハンター・ラッセル症候群と呼ばれています。

さらに、1965年には、新潟県阿賀野川下流域で、メチル水銀中毒が発生していて、第二水俣病、あるいは新潟水俣病とも呼ばれています。

昭和電工鹿瀬工場で、やはりアセトアルデヒドの生産過程で生成したメチル水銀の廃液が阿賀野川に排出され、川で獲れた魚介類を摂取人たちが被害にあっています。

カドミウムによる事件

ヒ素ミルク事件、水俣病とともに有名な重金属による健康被害に、イタイイタイ病があります。

イタイイタイ病は、その名のとおり筋力低下にはじまり、歩行人の下肢骨痛い、呼吸時の肋骨痛、上肢の運動痛、背部・腰部の運動痛など体のあちこちに痛みがみられ、最終的には骨強度が極度に低下して、ちょっとした力ですぐに骨折をしてしまいます。

1955年、岐阜県の三井金属鉱業上岡事業所の亜鉛鉱石未処理排水が原因で、亜鉛鉱石に不純物として含まれていたカドミウムが神通川を汚染し、この水を灌漑用水として利用していた下流域の水田を汚染し、稲や野菜に蓄積され、濃縮された米を食べることで慢性的に摂取されたカドミウムが、近位尿細管に蓄積して腎障害を起こし、カルシウムの再吸収が障害されました。

PCBによる事件

PCBによる事件として、カネミ油症事件があります。

1968年、北九州の製油会社のカネミ倉庫が製造した食用米ぬか油を摂取した人に、全身の皮膚・爪・歯茎などに色素沈着や塩素ざ瘡(クロルアクネ)が発症しました。

原因は、脱臭工程で用いる熱媒体のPCB製品で、改修工事のミスでPCBが循環パイプの溶接部から俺出して、米ぬか油に混入してしまったために起こりました。

PCBのほかに、長期間の高温での使用ででてきたさらに毒性の強いPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)も原因物質であることがわかっていて、このカネミ油症事件をきっかけとなり、化審法が制定されることになりました。

最新情報をチェックしよう!