耳鳴は、「みみなり」または「じめい」と呼ばれ、実際に外で音がしていないのに、耳の中、頭蓋の中に音が感じられる状態のことです。
右耳だけ、左耳だけ、両耳の場合があります。
耳鳴がするメカニズム
耳鳴というぐらいですから、実際に人間が音を聞くメカニズムと深く関係しています。
私たちは、音を聞くとき、まず音が耳の穴から入ってきて、外耳道を通って鼓膜に伝わり、鼓膜がその音の波動で振動します。
そして鼓膜の振動が、耳小骨によって増幅されて、さらに内耳にある蝸牛に伝わります。
蝸牛は、音を電気信号に変える器官で、ここで音が電気信号に変えられて脳に伝わり、音として認識されます。
耳鳴を感じる人は、難聴の人が多く、加齢によって高音域が聞こえなくなっています。
音を電気信号に変える蝸牛では、低音域、中音域、高音域をそれぞれ担当している部位があり、その部位に異常があると、担当する音域を電気信号に変える機能が弱くなってしまい、その結果、その音域の音が認識しづらくなってしまうのです。
加齢で高音域が聞こえづらくなると、脳はその音域の電気信号が少なくなったことを感知して、聞こえないものを補うために過度に反応して電気信号を増幅させるようになります。
この反応によって、実際には音が鳴っていなくても、音が鳴っていると感じてしまい、耳鳴が起こるのです。
耳鳴の音色
ひとことで『耳鳴』といっても、聞こえ方は人それぞれです。
耳鳴の表現としては次のようなものがあります。
キー、ジー、ピー、ブー、ザー、シー、シャー、ゴー、ビー、ボー、ジャー、ウー、ガー。キーン、ピーン、ブーン、ジーン、ドンドン、ジージー、ウーウー、キーキー、シャンシャン、ジャンジャンなどがあります。
さらにこれら2種類、あるいは3種類以上が混じる場合もあります。
セミの鳴き声、セミが百匹、モーターの回っているような音、コンプレッサーのような音、テレビが壊れたときにするような音といった表現もされます。
耳鳴の訴えとしては、加齢により高音域が聞こえづらくなったことによって起こるケースが多いためか、キーン、キー、ジーといった高音域の音での耳鳴が多くなっています。
オージーメーターや耳鳴検査装置を使って音を出し、耳鳴がどの音に近いかを検査する方法もあります。
補聴器で耳鳴をリハビリ
耳鳴の治療法の一つに、補聴器を使ったリハビリがあります。
加齢により聞こえづらくなっている高音域の音を補聴器を使って脳に届けます。
補聴器を1日中つけ、十分な音量の高音域が入ってくるようになると、蝸牛が過剰反応していた状態から落ち着き、耳鳴が改善していきます。
補聴器リハビリをやり始めた瞬間から、耳鳴が軽くなるということもあります。