遺伝子組み換え技術は、酵素等を使って、ある生物の目的とする遺伝子つまりDNAを、人為的に他の生物の染色体などに組み込んでつくります。
遺伝子組み換え技術を使った代表的な食材
遺伝子組み換え技術を使った代表的な食材はいくつかあります。
除草剤に耐性のある大豆
除草剤のグリホサートは、雑草はもちろん農作物まで枯らしてしまう非選択性の除草剤で、植物や微生物に特有の5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素(EPSPS)という芳香族化合物の生合成経路の酵素を阻害する働きがあり、これにより植物を枯らします。
しかし、Agrobacterium tumefaciens CP4株の改変 cp4 epsps 遺伝子を導入すると、改変 CP4 EPSPSたん白質を発現し、グリホサートによる阻害を受けません。
そこで、この遺伝子を導入した大豆は、除草剤のグリホサートに耐性を示します。
害虫抵抗性があるトウモロコシ
グラム陰性桿菌のバチルス・チューリンゲンシス((Bacillus thuringiensis )は、殺虫タンパク質であるBt毒素を作りますが、それは蝶や蛾などの鱗翅目昆虫の中腸上皮細胞にの受容体と結合して、その消化プロセスを阻害することによって殺虫作用を発揮します。
このBt毒素をトウモロコシに導入することで、トウモロコシのがいちゅうであるアワノメイガやその類縁昆虫などからトウモロコシを守ることができます。
Bt毒素は、人間では遺産で分解されやすく、またヒトの腸にはBt毒素の受容体がないため、ヒトには無毒となっています。
遺伝子組み換え食品ってどれだけあるの?
2022年3月の時点で、遺伝子組み換え食品の義務表示対象品目になっているのは、作物としては次の9品目です。
大豆(枝豆・大豆もやしを含む)、とうもろこし、ばれいしょ、菜種、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ、からしな
さらにその加工食品として33食品群が対象となっています。
特に、大豆やとうもろこし、ばれいしょは、加工食品の原料となっているので、次のような食品は注意が必要です。
大豆加工食品としては、豆腐類・油揚げ類、凍豆腐・おから・ゆば、納豆、豆乳類、みそ、大豆煮豆、大豆缶詰・瓶詰、きな粉、大豆いり豆等があり、枝豆や大豆もやしについても注意が必要です。
とうもろしこしは、コーンスタック菓子やコーンスターチ、ポップコーンといったものの原料となっていますし、冷凍とうもろこし、とうもろこし缶詰・瓶詰、コーンフラワーを原料とした加工品などにも注意が必要です。
ばれいしょは、ポテトスナック菓子、ばれいしょでん粉の原料として広く使われています。
さらに、添加物やしょうゆ、食用油については、遺伝子組み換え食品の表示義務ではないので、この点も注意が必要です。
厳密に言うと遺伝子組み換え食品の表示からは100%わからない
遺伝子組み換え食品については、一応法律上表示義務があります。
義務表示の部分は変更がないのですが、任意表示に関しては、2023年4月1日以降、すこしルールは変わっています。
義務表示としては、分別生産流通管理を行い、遺伝子組み換えのものを使っている場合は、『大豆(遺伝子組み換え)』のような表示になります。
また、分別生産流通管理をしていなかったり、していても5%超の意図せざる混入がある場合は、『大豆(遺伝子組み換え不分別)』のような表示になります。
任意表示としては、適切に分別生産流通管理され、意図せざる混入が5%以下に抑えられている大豆・とうもろこしの場合は、2023年3月31日までは、『遺伝子組み換えでない』、『非遺伝子組み換え』という表示することができましたが、2023年4月1日以降は、表示するのであれば『大豆(分別生産流通管理済み)』と表示しなければいけません。
また、適切に分別生産流通管理され、はっきりと一切遺伝子組み換えの混入がないと言える場合は、『遺伝子組み換えでない』、『非遺伝子組み換え』と表示することができます。