私たちの身の回りには、酸性やアルカリ性の性質をもった化学薬品などがあり、これらに触れることで皮膚が熱傷を起こしてしまうことがあります。
皮膚に酸やアルカリがついたときに起こる症状
それでは、実際に酸やアルカリが皮膚につくとどのようになるのでしょうか。
まずは、皮膚が酸やアルカリによって浸食されるので、酸やアルカリがついた場所が炎症を起こし、赤みやほてりがでてきます。
さらに症状が進むと、その患部にしびれや痛みがでてきます。
特に、酸性物質との接触においては、ひどい場合は皮膚が黒くなったり、壊死を起こしてしまうケースがよく見られます。
皮膚の熱傷のレベル
皮膚の熱傷は、酸やアルカリに皮膚が浸食された深さによって分類されています。
皮膚に熱傷を起こして医療機関を受診すると、医師は、患部における熱傷の深さ、被害の度合いを診断します。
これにより、熱傷の深さによる熱傷分類に基づき、どのレベルの熱傷かを判断します。
まずは、皮膚の一番表層である角質層をはじめとした表皮が損傷されている場合は、表面的な熱傷になります。この表皮の損傷レベルは、以前は第1度熱傷と呼ばれていました。
皮膚は、表皮の下には真皮がありますが、酸やアルカリによる真皮にまで浸食が及ぶ損傷の場合は、中間層熱傷または真皮損傷になります。
この真皮レベルでの損傷は、以前は第2度熱傷と呼ばれていました。
さらに進んで、損傷が皮下組織にまで及んでしまったものは、全層熱傷と呼ばれ、以前は第3熱傷と呼ばれていました。
実際に、医療機関での診断は、こうした熱傷の深さによる分類の他に、患部の痛みのレベルや、腫れの状態、感染の可能性がある状態なのかといった患部の被害の度合いを総合的に診断していきます。
身近にいっぱいある、酸・アルカリの化学物質
私たちの身近には、酸・アルカリの化学薬品がいっぱいあります。そして、それらと皮膚が接触することによって、熱傷が起きてしまいます。
熱傷の症状のポイントとなるのが、こうした化学薬品との接触時間、化学薬品の濃度や強度、患部の場所などで、こうした要因によって症状の重さも変わってきます。
身近なもので特に気をつけたいのが、漂白剤、入れ歯の洗浄剤、清掃用の洗剤、カーバッテリーの酸、アンモニアなどです。
こうしたものは適切に使っていれば問題ありませんが、手袋をしないで漂白剤を扱ったり、手に漂白剤がついたまま長時間放置するといったことをすると、熱傷を起こす原因になってしまいます。
特にこうした化学薬品の危険性を認知できていない幼児や高齢者は、注意が必要です。
酸やアルカリが皮膚についてしまったときの対応
化学薬品との接触時間は、熱傷の程度を軽くすませるか、重症にしてしまうかの大きなポイントです。
重篤な熱傷の場合は、皮膚の交換をしたり、美容整形といったことも行う場合がありますが、皮膚の場合は、酸やアルカリを除去することが大切で、10分~20分、流水で肌をすすぐことが大切です。
子供や高齢者を酸やアルカリによる熱傷から守る
酸やアルカリに接触してしまった場合は、すぐに水ですすぐことが大切ですが、できればこうしたことは避けたいところです。
化学薬品は製品の注意書きにもあるとおり、子供の手の届かない所に保管して、使用した後はしっかりと適切に安全な場所に管理するようにします。
使わなくても良い化学物質は、なるべく使わないようにするという発想もあります。
また、むやみやたらに化学物質を混ぜたりしないことです。
洗剤などにも、混ぜると危険といった表示が製品にありますが、特に危険な場合は、製品の注意表示として記載されていますが、基本は、特に使用方法として記載されている場合を除き、むやみやたらに化学物質・化学薬品は混ぜるべきではありません。