ものをおぼえるとき、なかなか覚えられないことがあります。
特に、体系的なことを覚えるとき、全体像を一気に覚えることはなかなか難しいと思います。
例えば、ある項目の事項を順番に覚えるとき、一気にまとめて覚えるのは大変です。
チャンクを考えて覚える
記憶術の本などを読んでいると、覚えるときに頭文字や最初の数文字を覚えるという方法があります。
頭文字や最初の数文字を覚えておけば、その後は思い出しやすいというわけです。
『チャンク』とは、「カタマリ」を意味する言葉で、このチャンクを作ることを『チャンキング』と言ったりします。
人間の脳は、『マジカル7』または『マジカルナンバー』といって、認知心理学の分野ではよく知られた話です。
何かというと、アメリカの心理学者である George Miller が提唱したことで、人間の短期記憶の容量は、「7±2」だそうです。
小説を読んでいても、物語の主要人物が7人を超えてくると、なかなか理解しずらくなってきたりしてしまいます。
多くの小説で、物語の主要人物がだいたい7人までになっているというのは、こういうところから来ているのかもしれません。
商品のパンフレットなどとみても、メリットが20個も30個も書いてあったとしても、なかなか頭に入ってきません。
ところが、この商品の5つのメリットとしてまとめてあると、5つぐらいならすんなりと頭に入ってくると思います。
いろいろな商品のメリット、特徴があるけれど、何十個もあるそうしたメリットを、5つのカタマリに集約してやると頭に入ってくるのです。
ここで、「7±2」であるマジカルナンバーは、情報量ではなくチャンクです。
これは、小さな小箱をイメージすると理解しやすいかと思います。
チャンクの力
小さな小箱は、その1つ1つがチャンクで、その中に入っているのが情報です。
その情報の情報量は、1つの数字であっても、人物の名前であってもいいのです。
そして、マジカルナンバーが「7±2」ということで、短期記憶としては小さな小箱が7つあると考えればいいのです。
1つ1つの小箱に、1つの数字を入れるより、いくつかの数字をセットで入れたりしたほうが、より多くの情報量を覚えることができます。
つまり、チャンクで覚えるというのは、記憶する量を節約することで、多量のものを覚えていくという考え方になります。
原子記号の覚え方
原子記号の覚え方として、有名な次のものがあります。
水兵リーベ僕の船、七曲まがりシップスクラークか
(H He Li Be B C N O F Ne Na Mg Al Si P S Cl Ar K Ca)
これを、水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム・・・と覚えていくと、文字数だけでも大変になってしまいます。
そこで、頭出しで文字数を削って、しかもそれをつなげて意味ある言葉にして覚えていくことで、チャンクを使い覚えやすくしています。
水素(すい)、ヘリウム(へい)、リチウム(りー)、ベリリウム(べ)・・・といった具合にかなり短縮していますが、覚えているうちに、水兵のすは、水素のすだとすぐにわかるようになるので、水素というように全部覚える必要はありません。
リーベはドイツ語で愛してるという意味ですので、水兵さんが僕の船を愛していて・・・と状況を思い浮かべるだけで多くの事象を覚えることができるというわけです。