最近、健康や脳科学の分野で、『マインドフルネス』という言葉がよく聞かれるようになりました。
『マインドフルネス』というと『瞑想』を連想する人もいるかと思います。
マインドフルネスと瞑想
マインドフルネス(mindfulness)とは、日々の心配事であったり不安な気持ち、さらには仕事での評価、他人からどう思われているだろうかという評価、そんなことがついつい頭に浮かんでしまうことを抑え、今だけに集中できるような精神状態を意識的に作っていくことになります。
そしてその手法の一つとして瞑想があります。
MBSR(マインドフルネスストレス緩和プログラム)を臨床的な技法として1979年にマサチューセッツ大学の医療センターで開発した、ジョン・カバット・ジンは、8週間の瞑想によるマインドフルネスにより、その効果を検証しています。
マインドフルネス瞑想法により、脳の扁桃体の反応が緩やかになり、記憶や学習を司る海馬やと思いやりや内省と深い関係がある前頭前野が活性化し、ストレス軽減するとともに記憶力などの能力アップが図れることがわかっています。
マインドフルネス瞑想法によって、雑念が消え、集中力が高まるとともに、不安やストレスで押しつぶされネガティブ回路に陥ってる脳をリセットすることができます。
<参考>
Davidson,R.J., Kabat-Zinn, J., Schumacher,J., Rosenkaranz,M., Muller,D., Santorelli,S.F., Urbanowski,F., Harrington, A.,Bonus,K., &Sherindan, J.F. (2003)
Alterations in brain and immunefunction produxed by mindfulness meditation.
Psychosomatic Medicine, 65, 564-570.
デビッドソンの研究
マインドフルネスに関連したデビットソンの研究では、被検者に1週間に3時間ずつ、2ヵ月間(8週間)瞑想の訓練をしてもらっています。
その結果、瞑想前ではネガティブな感情を関係が深い脳の右側の部分が活発だったのが、8週間後の瞑想の後ではポジティブな感情と関係が深い脳の左側の部分のほうが優勢になっていました。
さらに、デビットソンは、この時、インフルエンザ抗体についても調べていましたが、瞑想の訓練に参加したグループでは、参加しなかったグループに比べて大量のインフルエンザ抗体ができていたことがわかっています。
このように、マインドフル瞑想法では、心のケアだけでなく、免疫機能にも影響があったことがわかっています。
瞑想といっても難しく考えずやってみる
瞑想というと、修行僧がやるようなことでどうもハードルが高いと思ってしまうかもしれません。
しかし、難しく考えるまえにやってみることが大切です。
まずは5分間から、静かに座れる場所を決め、好きな時間に5分間というところからはじめてみると良いでしょう。
朝起きてからとか、寝る前にとか、時間を決めてやると毎日続けられます。
姿勢を真っすぐに、あぐらでもいいので楽な姿勢で座ってみます。
無駄な力は抜いて、目は閉じるか半眼状態でかまいません。
目を閉じると、いろいろと雑念が浮かんできていろいろ考えてしまうという場合は、むしろ半眼で1mぐらい先をぼんやりと見つめるといいかもしれません。
呼吸は鼻で、ゆっくり深呼吸していきます。