日本は高齢化社会を迎えていて、それに伴い認知症の患者も増加傾向にあります。
国の試算によると、2025年には、約700万人、つまり高齢者の約5人に1人は認知症患者になるとも言われています。
認知症を予防するために、どのようなことに気をつけていったらよいのでしょうか。
カギは酸化ストレス
認知症や脳の老化と深くかかわっているものとして、『酸化ストレス』があります。
例えばリンゴを食べるとき、1個じゃ多いから半分に切って、残りは明日ということで、半分に切ったリンゴの残りをラップで包み冷蔵庫にいれたりしますが、翌日に食べるとき冷蔵庫からリンゴを取り出してみると、半分に切った面が赤く変色しています。
そこで、赤くなった部分を薄くスライスして取り除いてから食べたりしますが、これがいわゆる『酸化』で、平たくいえば鉄が錆びるようなものです。
そしてこのリンゴの変色の原因になっているのが、活性酸素です。
ヒトは呼吸することで取り込んだ酸素のうち、約2%が活性酸素に変化すると言われていて、その中でも悪玉の活性酸素は、正常な細胞やDNA(遺伝子)を攻撃し、酸化させて障害を与えてしまいます。
そして、認知症、特にアルツハイマー型認知症は、この活性酸素による酸化ストレスが大きな原因の一つで、酸化により脳神経が障害されて起こるのではないかと考えられています。
実際にヒトでの臨床試験で、抗酸化剤が認知症の予防に効果があることが示されています。
脳の炎症と活性酸素
アルツハイマー型認知症は、脳内で炎症が起こるために炎症マーカーが上昇し、特にTNF‐αというサイトカインの量が、認知症の進行とともにじょうしょうしていくことが確認されています、
そして炎症の原因となっている活性酸素を抑えることで、脳の老化や認知症の予防につながることがわかっています。
マウスを使った動物実験ですが、抗酸化作用をもつ水素水の摂取が、認知症のマウスの海馬の神経損傷を抑え、認知機能が改善したという研究報告もされています。
認知症予防には睡眠も大事
時間がないからといって睡眠時間を削って仕事をしたりする人もいますが、脳の健康という観点からすると、オススメできません。
アルツハイマー型認知症は、アミロイドβが何年も前から脳に溜まりはじめ、ゆっくりと進行していきます。
脳にこうした老廃物が蓄積しないようにするためには、リンパの流れを良くすることが大切ですが、そのためには血流も良くすることが大切になってきます。
そして、睡眠中にはリンパの流れが活発になることがわかっていて、睡眠中の脳のお掃除がされているというおとになります。
認知症を予防するためには、質の良い十分な睡眠も大切になってくるのです。