脳は非常に働きもの組織で、ましてや仕事や勉強で頭を使っていると非常に疲れてしまいます。
そこで、休日は何も考えず家でただボーっとすごして脳を休めていたつもりなのに、なぜか月曜日の朝から頭が重いといったことがあると思います。
なぜこのようなことになっているのでしょうか。
脳はただボーっとしていても休まらない
脳を休める方法にはどんなものがあるかと質問すると、大抵の人はまず睡眠と答えるでしょう。
確かに睡眠は脳を休ませるのに非常に有効な方法です。
それでは、睡眠の他には何かないかということですが、何もしないでただボーっとしていると思っている人が多くいます。
たしかに、仕事や勉強、家事などで毎日忙しく頭をフル回転しているから、休日ぐらいは何も考えずにぼんやりとすごしたら良い休息になるのではないかというイメージがあります。
しかし、どれだけボーっとして過ごしていても、それはただただ無為な時間の浪費で、そんなことでは脳は休まらないどころか、かえってどんどんエネルギーを消耗している可能性すらあるのです。
脳はただボーっとしていても休まらない
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脳という組織は、その重量は体重の約2%に過ぎませんが、私たちの体が1日に消費する全消費エネルギーのうち約20%は脳で消費されています。
つまり、重さはたった2%の脳が、体全体の20%ものエネルギーを必要としているのです。
なぜ、脳はこんなにもエネルギーを必要とするのかというと、DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)があるからではないかということが言われています。
DMNとは、脳のネットワーク回路、つまり内側前頭前野、楔前部(けつぜんぶ)、下頭頂小葉、後帯状皮質などの部位から構成されている脳回路の一種のことをいいます。
このDMNという脳回路は、脳が意識的な反応をしていないときに働くベースライン活動を行っている脳回路で、そのエネルギーがなんと脳全体の消費エネルギーの6~8割を占めていると言われているのです。
つまり、わかりやすく言うと、特に知的活動をしていないとき、意識的な反応をしていないときでも、脳はまるで停車中のアイドリングをしている車のようにエンジンがかかった状態になっていて、ガソリン、つまりエネルギーを使っていて、それが脳全体のエネルギーの6~8割を占めているのです。
したがって、特に何かに集中することなく、ただ家でボーっとしていても、このDMNという脳回路がベースラインで過剰に働いていれば、脳はどんどんとエネルギーを消耗していることになります。
しかも、何か意識的な作業をしたとしても、それにより追加で必要となるエネルギーは5%ほどだと言われていて、DMNによるエネルギーの消耗がいかに大きいかがわかります。
ただボーっとしているだけじゃダメ
ただボーっとしているけど、DMNが過剰に働いていてエネルギーを消耗している状態は、例えればブレーキをかけたままアクセルを空ぶかししているようなものなので、週末家でボーっとして脳を休ませたつもりでも、月曜日の朝から頭が重いといったことになるのです。
ボーっとしていても、人間の脳には、雑念が浮かんできて、心がさまよい、とりとめのない考えに脳のエネルギーを使っています。
人間は雑念だらけで、1日の半分以上をこうした雑念にとらわれているといっても過言ではないかもしれません。
この雑念のときに働いているのがDMNですが、これを鎮めるために注目を浴びているのが、マインドフルネスになります。
マインドフルネス(mindfulness)とは、具体的には、日々の心配事や不安な気持ち、仕事や他人からの評価といった、つい意識していないのに頭に浮かんできてしまう雑念を鎮め、「今」だけに集中できるような精神状態を意識的につくっていくことになり、このために瞑想がよく行われているのです。