単語とは他人と共有できる脳のようなもの | 賢脳トピック

人間の思考というのは、その人のものであり、その中身は共有できません。

例えば、ある問題が出されて、それを複数の人で考えるとき、個人個人の脳の中ではその問題に対していろいろと思考をめぐらせますが、その思考をお互いにリアルタイムで共有することはできません。

でも、会議や打ち合わせをすることによって、お互いに考えていることを理解することができます。

なぜ、そのようなことができるのかというと、人間には言葉があり、発せられる単語にそれぞれの意味を持っているからです。

イヌといえば

『イヌ』と言えば、多くの人が頭の中で、四つ足で走って吠える動物であるいわゆる『dog』が頭の中に思い浮かんでくると思います。

なぜならば、個人個人で、『イヌ』という単語を聞いたとき、過去に見聞きしたイヌ、本や図鑑で見てきたイヌの情報が頭の中につまっています。

例えば、人々が集まって『イヌ』の話になったとき、個人個人が持っているイヌにまつわる体験は違っていても、みんなの脳の中には同じようにニューロンが発火して、イヌというものをイメージしています。

このことから、単語はいわば他人と共有できる脳のようなものとも言えます。

人によってイヌは違う

『イヌ』という単語を聞いて、みんなおおまかにイヌというものを連想するということですが、もう少し細かくみると人によって違ってきます。

小さく可愛い子犬を指して『イヌ』と言えばみんな納得すると思います。
また眼光鋭い警察犬などを指して『イヌ』といってもみんな納得します。
さらに人間の大人よりも大きいんじゃないかというような大型犬を指して『イヌ』といってもみんな同意するでしょう。

人によって『イヌ』という単語だけ聞いた場合、どういったイヌを連想するかは人それぞれになってしまうということになります。

イヌから連想される単語

イヌという単語と連関する言葉として、例えば「吠える」があります。
しかし「怒鳴る」とか「叫ぶ」という言葉は『イヌ』とは連関しません。

会話でも、文章でもいいのですが、『イヌ』という単語がでてきたとき、連関して使われる単語が限られてきます。

『イヌ』という単語が出てきたとき、頭の中で連関する可能性のある何千もの単語がスタンバイ状態になり、何万という無関係な単語が後ずさりします。

特定の単語と一緒に使われる単語が自然と決まってくるのです。

人間は、一緒に使ってしっくりくる単語とそうでない単語を直感的に理解しています。
今までの体験や知識から、『イヌ』と連関する言葉が直感的に出てくるのです。

そしてこれら『イヌ』から連関する直感的に出てくる言葉は、多くの人に共通しています。

そういった意味では、『イヌ』というもののおおまかなイメージは『イヌ』という言葉によって共有できているともいえるのでしょう。

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