地頭を鍛えるフェルミ推定問題 | 賢脳トピックス

『地頭』と漢字で書くと、「泣く子と地頭には勝てぬ」という言葉を思い出す人もいるかと思います。

この場合の『地頭(じとう)』は、鎌倉時代から室町時代にかけて、幕府が消炎や国衛領を管理支配するために、租税徴収・軍役・守護に当たった管理者で、後に権力を増して領主化していったことから、その勢い・権力の強さから「泣く子と地頭には勝てぬ」というような言葉も生まれました。

しかし、頭の良さを示す『地頭』は、『地頭(じあたま)と読みます。

地頭が良いとは

『地頭(じあたま)を辞書で調べると、かつらなどをかぶらない、そのままの髪の頭も地頭(じあたま)と言いますが、それは置いておくことにします。

大学などでの教育で与えられたのでない、一般に知識の多寡でなく、論理的思考力やコミュニケーション能力などをいう。「―がいい」「―を鍛える」とあります。

つまり、学校の勉強ばかりしていても、地頭は鍛えられないのです。

平たく言うと、地頭が良いということは、知識を詰め込んでいて物知りというのではなく、柔軟な発想ができて、新しい分野であっても短時間で対応していく能力があるということになります。

頭が良い人の3タイプ

頭が良い言われる人は、3パターンあります。
1つ目は、いわゆる物知りな人。多くの知識を持っている人で、生き字引と言われる人であったり、テレビにでているクイズ王なんていうのもこのパターンかもしれません。

2つ目は、臨機応変に機転が利く人。その場その場で対応していける対人感性が高い人です。人が何を欲しているのかを見抜き、状況に応じて対応できるMCや、アドリブでどんどん笑いを取っていくコメディアンなどが該当するでしょう。

3つ目は、地頭が良い人で、数学者とかプロ棋士みたいに思考能力が高い人になります。

地頭と知識はよく対比されたりします。
一番の違いは、知識は正解があり、プロセスも決まっていて、従来のマニュアルデータが重視されたりします。
一方地頭は、正解はなく、プロセスは多用で、未来のものや未知のものに対して考えていくことが重視されます。

知識という面では専門家に分がありますが、地頭はむしろ既成概念にとらわれず自由な発想ができる素人のほうが強いとも言われます。

もちろん、この3つすべて備わっていれば鬼に金棒です。

地頭を鍛えるフェルミ推定問題

フェルミ推定とは、正確に把握するのが難しい数値を、論理的に概算するものです。

「原子力の父」として知られるノーベル賞物理学者エンリコ・フェルミの名前に由来しています。

地頭力のポイントは、結論から考える、全体から考える、単純に考えるということが大切になってきます。

結論から考えるというのは仮説思考力、全体から考えるというのはフレームワーク思考力、単純に考えるというのは抽象化思考力になります。

地頭力を鍛えるには、この3つをポイントに意識していくと良いかもしれません。

フェルミ推定で、フェルミが実際に出題した有名な例題が「アメリカのシカゴには何人のピアノの調律師がいるか?」です。

もちろんデータもなければ教科書にも書いてありません。知識だけではどうにもなりません。

シカゴの人口を300万人と仮定。
1世帯あたりの人数を平均3人とすれば、市内にあるのは100万世帯となります。
ピアノを所有しているのは10世帯中1世帯、と仮定すれば、市内には100万世帯/10で10万台のピアノが存在すると推定。
調律師が1日に調律できるピアノの台数は3台ぐらいでしょう。週休2日で働けば、年間の勤務日数は約250日です。つまり1人の調律師が1年間で調律できるピアノは250日×3台で750台と推定。
ピアノの調律は1年に1回、行うものと考えられます。市内には10万台のピアノがあるわけですから、単純に考えて1年に10万回の調律ニーズがある。
これを1人の調律可能台数750台で割れば、10万回/750台で130人となり、これがシカゴの調律師人数だと推定。

この推定の過程で地頭力を発揮しているのです。

仮説を立て、結論から推定し、複雑な課題を抽象化して、調律師の数の推定に持って行っています。

仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象化思考力をフル稼働していることがわかります。

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