褒められて伸びる子の報酬系 | 賢脳トピックス

人間を育てるのに『褒めて伸ばす』というようなことがよく言われます。

昔は、見込があるヤツほど厳しく叱って育てるというようなことも言われ、厳しく叱られるということは見込まれているからだといわれてきたものです。

叱られる人、褒められる人

もちろん、人の育て方にはいろいろな考え方があってよいわけですし、育てる側と育てられる側の相性というのもあるのでしょう。

でも多くの人は、叱られればしゅんとしょげてしまいますし、褒められればよしもっと褒められるように頑張ってやるぞとやる気が出てくるものだと思いますし、実際に自分もそうだという人も多いと思います。

叱られて、「自分は見込みがあるから叱られているんだ。よし食らいついてでもついていこう。」というような人はどちらかというと少数派のような気がします。

やる気だけではない褒める効果

褒めると、やる気が出てきて成長するというイメージがありますが、褒めることで本当に脳の構造が変わり、より良い成長につながる可能性があることが示唆されています。

国際研究グループが2010年に行った研究ですが、アメリカや日本など、脳卒中の後遺症を抱える患者さん180人余りを対象に、歩行を改善するリハビリを行ったあとに、「褒められた患者」は、「褒められなかった患者」に比べて歩く速度が25%以上も速くなったという結果がでています。

この25%以上もの成績の向上は、最新のリハビリ器具や医薬品を使っても上げるのは大変なレベルの改善だったといいます。
褒めるだけでそんなにすごい効果があるのかという疑問がわいてきますが、それには脳のしくみが大きく関わっていると考えられています。

犬に芸を教え込むときは、実際にやらせてみて、もし成功したら思いっきり褒めてあげ、それでどんどん芸を教え込んでいくといわれています。
これの繰り返しで、犬はより高度な芸を身につけていきます。

人間もこういった点では同じなのです。

肝心なのは褒めるタイミングで、できたときにすかさず褒めることが大切で、すかさず褒めることで「成功した ⇒ 褒められる」という条件付けが脳内に形成されていくのです。 

褒められると伸びる脳のしくみ

脳には、『報酬系』というシステムがあります。
何らかの欲求が満たされたときに活性化して、気持ちいいという感覚を与えることが、この報酬系のしくみです。

喉が渇いているときに、冷たい水を渡されて飲むと、頭の中を「気持ちいい!」という感覚が駆け巡ります。
このとき、脳の報酬系が活性化してドーパミンという物質を放出します。

褒めるという行為は、このドーパミンが得やすようにすることが、好成績につながっていくものと考えられているのです。

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