法律の条文や契約書の内容は、いろいろとやっかいなものです。
例えば、似たような文章でも「の」があるのとないのでは、全然意味が違ってきてしまいます。

あなたは有能な社員? それとも無能な社員?

「の」の有無で文章のニュアンスが全然違ってくるという代表例として、「その他の」と「その他」の違いというものがあります。

ちょうど桜の開花時期なので、お花見をテーマに考えてみることにします。
あなたは、「山田太郎」、某会社に勤める入社4~5年目の社員と仮定します。

ある日、所属する部署の部長から、お花見の場所取りからこんな通達が来ました。
2つのパターンを考えてみましょう。

パターンA
今年も花見の季節がやってきました。鈴木くん、山田くんその他の若手に、場所取りをしてもらおうと思います。

パターンB
今年も花見の季節がやってきました。鈴木くん、山田くんその他若手に、場所取りをしてもらおうと思います。

どこが違うんだよ!と思われた方もいるかと思いますが、文章を見る限り、「その他の」が「その他」になっているだけで、大きな違いは無いように思えます。

しかし、この2つの文章の意味は全然違ってきてしまうのです。たった「の」が付いているか付いていないかの差だけなのにです。

パターンAの文章の場合は、花見の場所取りをするのは、こうなります。
鈴木くん、山田くん、その他の若手(鈴木くん、山田くん以外の若手)
つまり、鈴木くんと山田くんは、若手であるけれども、他の若手と区別され、最初に特別に2人名前が出されています。
会社が将来有望であると期待しているから、こういう扱いになっているのかもしれず、有能な若手社員と思われている可能性があるのです。

パターンBの文章の場合は、花見の場所取りをするのは、こうなります。
鈴木くん、山田くん、若手
つまり、鈴木くんと山田くんは、若手としては見られていないのに、若手と同等に扱われているということになります。
もちろん、若手を引っ張ってリーダー的な役割を果たして欲しいという会社の期待があるという可能性もありますが、若手と同じレベルだから、花見の席取りでもしてなさい。というように、会社にいてもあまり役に立たない社員と思われている可能性もあるので注意が必要ということになります。

トラブルになりかねない「その他の」と「その他」

他の例をあげてみると、次のような事例があります。

パターンC
人件費、広告費その他の事業展開のために両社が必要であると認めた費用については、両者が均等に負担します。

パターンD
人件費、広告費その他事業展開のために両社が必要であると認めた費用については、両者が均等に負担します。

均等に負担だからと、片方の会社が勝手に広告をして金額が発生したとします。
均等負担なので、広告費の半分を請求したところ、パターンDの場合は半額負担してもらえますが、パターンCの場合は半額負担してもらえなくても文句が言えないのです。

両者が均等に負担するものは、次のようになるからです。
パターンCの場合 : 人件費・広告費も含めて両者が必要であると認めた費用
パターンDの場合 : 人件費 + 広告費 + 両者が必要であると認めた費用

「その他の」と「その他」の違いのまとめ

まとめると、その指し示す範囲は次のような違いがあります。

A、Bその他の項目 ⇒ A・Bを含むその他の項目
A、Bその他項目  ⇒ A + B + その他項目