サザエさんを見ていると、波平がカツオに「テストで良い点を取ったらおこづかいを上げてやってもいいぞ」と言っていたシーンを見た記憶があります。
どうせ、そんなこと言ったって、取れっこないだろうし、万一取れたとしても親としては嬉しいという心理があるのでしょう。
サザエさんでなくても、なかなか勉強をしない子供に、「今度のテストで70点以上取ったら、500円あげるよ」とか「テストの結果が良かったら前から欲しがっていたものを買ってあげてもいいわよ」というように、テストの結果に対してご褒美をあげるというようなことをやったことがある親も結構いると思います。
テストの結果でご褒美をあげることは良いことなのかどうか
犬じゃないんだから
よく、テストで良い点を取ったらご褒美というと、ペットの犬などのしつけになぞられる人がいます。
何かしたことに対してご褒美をあげるのだったら、「お座り」や「お手」をした時にエサをもらっている犬、あるいはショーで芸を披露したらエサをもらっている動物と同じではないかと考える人もいます。
人間を犬など他の動物と比較して考えるのもどうかと思いますが、人間も動物です。報酬を与えられれば喜びます。もちろん成果によって報酬がアップしていくのであれば、仕事や勉強にヤル気が出てくるのも当然のことです。
ご褒美自体は悪くない
従って、人間をご褒美というエサで釣って何かをさせようというのは、人間をペットみたいに扱っていてよろしくないという考えも確かにあります。
しかし、人間と同様にご褒美、つまり報酬をもらうと嬉しく感じるのも事実だし、ヤル気が出てくるのも事実です。
大人だってご褒美をもらえると違う
例えば、プロ野球選手などの契約更改も、残した成績によってアップダウンします。
頑張り次第で将来の自分の富が約束されるということですので、試合への意気込みや取り組み方にも自然と熱がはいるでしょう。
もし、いくら活躍されても年棒がアップしないというのであれば、多くの選手は適当にそれなりに、クビにならない程度にやっておこうとなるかもしれません。
このことから、ご褒美というものは、モチベーションを保つのにもある程度必要なものなのでしょう。
大人ですらそうなのですから、子供であればなおさらかもしれません。
別にご褒美を与えるということ自体は悪いことではないでしょう。
子供を勉強させるには最初のうちだけご褒美
勉強が好きな子供であれば、放っておいても勉強をしますので、ご褒美などいらないでしょう。
しかし、多くの子供は決して勉強が好きというわけではありません。知識を増やすこと、問題が解けることの楽しみを教えるためにも、最初のうちはご褒美やおこづかいをあげて勉強させて結果を出させる成功体験を積ませることも大切です。
しかし、ご褒美をあげるのは最初のうちだけ、ある程度勉強できるようになったらやめるべきでしょう。
なぜならば、きりがなくなるからです。
勉強しテストで良い点をとるとご褒美がもらえるということも、繰り返されていくうちにその効果はなくなっていきます。
ご褒美は麻薬のようなもので、いつしかそれが当たり前になり、やがて今までよりももっと多くのご褒美を求めるようになってしまいます。
そしてしまいには、子供がお金のために勉強をする、ご褒美をもらうために勉強するといったように、本来の勉強をする意義が取り違えられてしまう可能性もあります。
パズルをやめてしまった子供たち
面白い実験があるのでご紹介します。
子供たちがパズル遊びをしているところに、一方のグループにはお金を上げ、もう一方にグループには何もしませんでした。
やがて、お金をもらっていたグループのほうは、パズル遊びをやめてしまいました。
最初は好奇心からやっていたパズルですが、お金をもらったことにより、いつしかお金が目的ということに変化してしまったのです。
いつまでもご褒美を与え続けていると、お金に目がくらむような性格の子供に育ってしまう可能性があります。
何でもかんでもご褒美を与えるのは良くないという人たちには、こうした懸念があるのだと思います。