商談や交渉、相手は機会やコンピュータではなく人間である以上、そこには心理的テクニックなどが存在したりします。
そうしたちょっとした交渉テクニックの中から、よく使われているおなじみのものをご紹介します。
こうしたテクニックは、意識して使っている場合もありますし、慣習として無意識のうちに行われているものもあります。
ランチョン・テクニック
ランチョン・テクニックとは、いわゆる交渉をランチをしながらというものです。
あまり気ごころが知れていない相手に使うと、人によっては、大事な仕事の交渉を食べながらとは不謹慎なと不快に思う人もいるでしょう。
大切な仕事をするのであれば、きちんとしたオフィスの中で、飲食物もせいぜいお茶か珈琲程度が当たり前でという人もいるかもしれません。
しかし、実はこのランチョン・テクニックは、おいしい食事を食べながら、おしゃれなお店でくつろいだ雰囲気で楽しい時間を共有することを演出すると、話しの内容もポジティブに受け止めさせやすいという効果があるのです。
政治家や高額な取引をするビジネスマンなどは、会食の機会を大切にしてこのランチョン・テクニックを活用しています。
ザッツ・ノット・オール・テクニック
ザッツ・ノット・オール(that's not all!)、つまり「それだけじゃないよ!」というテクニックです。
テレビの通販や店頭の実演販売でもなどでもおなじみの手法で、平たくいうと「おまけ商法」とも言われる手法です。
こちらの商品をお買い上げいただいた方に、こちらを差し上げますとおまけをつけることで、心理的な「お得感」を演出します。
おまけは、後から紹介するのが定石で、効果があります。
おまけがつくと、お得感があり、ついつい購入してしまうものです。
イーブン・ア・ペニー・テクニック
イーブン・ア・ペニー(even a penny)は、直訳すると、「1ペニーだけ」となります。
募金をお願いするときに、「1ペニーだけでもお願いします。」と頼んだほうが、募金をしてくれる確率が上がるというものです。
そしてこのようにお願いすると、ほとんどの人が1ペニー以上募金をしてくれるのです。
つまりどういうことかというと、極端に低い条件で交渉を始めて、それ以上の成果を期待していく手法です。
いわば心理的なハードルを極端に下げて、相手と交渉していくテクニックです。
「弊社のこのオススメの商品をちょっとご紹介させてください」と話しを切り出すのではなく、「弊社の商品について、1分だけお話させてください」と頼むと、話しを聞いてくれる可能性が上がるのです。
ほとんどの場合、1分以上たっても、相手は嫌な顔はしません。
営業マンがよく使う手で、テレビでも相棒の杉下右京さんが、立ち去る際に「あっ、あと1つだけ・・・」という言葉を言ったりします。
この手法を存分なくつかっているのが、刑事ドラマ「遺留捜査」に出てくる上川隆也さん演じる糸村刑事で、「僕に3分だけ時間をください」というセリフです。
たいていテレビをみているとその後3分以上は話をしています。
あれも、イーブン・ア・ペニー・テクニックを使っているのでしょう。