ブロッキングとは、話を傾聴する側にある何らかの思い込みや先入観によって、相手の話をあるがままに受け入れて聞き入れるということができなくなっている状態を言います。このブロッキングは薬剤師のコミュニケーションということにおいて、大きな阻害要因となります。
先入観で相手をみてしまう
薬剤師に限らず、普通の人のコミュニケーションにおいてもあり得ることなのですが、相手を先入観でみてしまうということです。
例えば、相手の第一印象で、またはこれまでわかっている範囲内での情報で先入観を持ってしまうケースです。相手はこういう人だという先入観をもってしまうのです。
リハーサル型ブロキングもある
先入観だけでなく、ブロッキングにはリハーサル型ブロッキングもあり、むしろ薬剤師の患者に対する応対では、このリハーサル型ブロッキングが良く見られます。
どういうことかというと、患者と話すにおいて、あらかじめ自分の頭の中で話すことをすべて事前にリハーサルしてしまうのです。
患者対応ということで、薬剤師として聞き出さなければいけないことを考え、リハーサルをしてしまうのです。
聞き出さなければいけないことを洗い出すこと自体は悪いことではないのですが、全てがちがちにリハーサルをしてしまうと、実際の患者との会話はいつもリハーサルしたとおりになるとは限りません。
真面目な人に多いのですが、患者との対話の中でリハーサルした順序から会話がはずれていってしまうと、もうそれが気になって患者の話を傾聴できなくなってきてしまいます。
リハーサル型で練習するのではなく、チェックリスト型で考え、話の順番などは決めずに、話題にすべきことを頭の中にリストアップしておくということで、あとは患者との会話の中で臨機応変に質問の順番を変えたり、質問の仕方を少し工夫してりしていきます。
共感のつもりが
薬剤師は患者の話を傾聴し、共感し・・・と理屈ではわかっているのですが、共感しているつもりが、実は自分の過去の体験から出てきた自分の感情に共鳴しているだけといった場合があるので注意が必要です。
また、自分の興味に基づいて質問をしていってしまうといった場合もあります。患者さんの話を聞いてでてきた興味に従って質問をしていってしまい、患者さんから本当に聞き出すべきことをはずしてしまったり、患者さんの気持ちが受け取れなくなってしまったりします。
ブロッキングを起こさないようにするには熟練が必要
一言でブロッキングはダメよといっても、このブロッキングを防ぐのに虎の巻などはありません。自分自身でブロッキングに気づいてはそれをはずし、気づいてはまたはずしといったようにしていくしかありません。それ以外の方法は残念ながらないといって良いでしょう。
つまり、ブロッキングに気づく力というものが大切になってきます。