ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネルマンは、人間の脳には『システム1』と『システム2』という2つの思考があると述べています。
『システム1』と『システム2』
『システム1』は、脳への負担を減らすために自動的に高速で動く思考、物事を直感的に理解しようとする思考になります。
『システム2』は、複雑な計算など、注意力を要する作用が必要な際に、慎重かつゆっくりと動く思考、物事を論理的に理解しようとする思考になります。
ダニエル・カーネルマンによるち、人間の意思決定にはDNAレベルで人間の脳に刻まれているものがあると言っています。
人間の意思決定行動の多くは、その人の過去の知見や経験をベースに直感的に決定されているようです。
これは、人間の脳が進化する過程において、物事を素早く判断することに重きを置いてきたからです。
なぜならば、原始時代、狩猟の時代は常に危険と隣り合わせでした。
そんな時に必要なのは、危険をいち早く察し、回避するための瞬発的な思考です。
つまり、『システム1』の思考が大切だったのです。
見た目がダメなら、もうその時点でアウト
どんなに素晴らしい企画書を作っても、見た目が悪かったり、粗雑な紙で作った資料であれば、目を通してもわえないということがあります。
なぜならば、人間はまず『システム1』の思考で直感的に「これはいい」、「これはダメ」ということをふるい分けてしまっているからです。
多くの素晴らしい企画書は、きちんとした綺麗な紙にカラーで印刷され、図表が多く用いられているものが多いというイメージがあります。
粗雑な紙に白黒で印刷されている資料は、読みにくそうとなり、その時点で内容にすら目を通してもらえない可能性もあるのです。
どんなに内容に素晴らしいものが書いてあっても、読んでもらえなければどうしようもありません。
だからこそ、資料を作るときも、読みやすい資料、見た目が良い資料、読んでストレスがかからない読みやすい資料ということが重要なポイントになってくるのです。
システム1のことを考えた資料づくり
システム1のことを考えた資料をつくるには、まずはわかりやすい文章が必要になります。
改行や行間にも気を配り、漢字やひらがなの含有率も考え、また読んでストレスがないように「この」「あの」「その」といった指示代名詞は極力減らすべきです。
箇条書きやリスト、場合によっては図表を用いて要点を整理することも重要になってきます。
資料に内容だけでなく、見た目ともいえる写真やイラスト、区切り線、文字サイズなどに気を遣うというのは、ただ単に資料をきれいにつくるというだけでなく、読んでもらえるようにという工夫になっているといえます。