『ソーシャルワーク』とは、患者・クライエントが抱えている問題を明らかにして、クライエント本人が問題解決に意欲的に取り組んでいけるように、いろいろな社会資源を利用して援助を行っていくものです。
時には、地域社会と連携して社会資源を活用した支援ネットワークを使い、クライエントを取り巻く環境が改善されていくように働きかけていく必要があります。
さらに、生活課題に対してクライエントの対処能力を高めていくことも重要な目標になっていきます。
医療ソーシャルワーカー(MSW)とその目標
『ソーシャルワーカー : Social Worker)』は、社会の中で生活する上で実際に困っているクライエントや生活に不安を抱えているクライエント、さらには社会的に疎外されているクライエントとの関係を構築して、いろいろな課題にともに取り組む援助を提供していくソーシャルワークを専門性に持つ対人援助専門職の総称を指します。
『ソーシャルワーカー』の中でも、医療機関などにおける福祉の専門職は『医療ソーシャルワーカー(MSW)』と呼ばれ、病気になった患者や家族を社会福祉の立場からサポートしていきます。
病気になったクライエント本人やその周りの方は、経済的・心理的な悩みや課題がたくさん出てくるものですが、そうした人達の相談にのって、よりよい社会生活を送れるように支援していくのが大きな目標になります。
その内容は、医療的・社会的な制度の活用方法の提案、地域の社会資源の紹介、入院・退院の調整、自宅の環境整備にいたるまでいろいろな支援が考えられます。
医療ソーシャルワーカー(MSW)に必要なエンパワメントとワーカビリティ
医療ソーシャルワーカー(MSW)には、エンパワメントとワーカビリティが大切であると言われます。
エンパワメント
『エンパワメント』とは、クライエントが潜在能力や可能性を発揮していくように支援していくことです。
ワーカビリティ
『ワーカビリティ』とは、クライエントが援助を活用して自ら問題解決に向かっていくことです。
医療ソーシャルワーカー(MSW)の相談面接における基本姿勢
医療ソーシャルワーカー(MSW)は、高い職業倫理を持っていることが大事です。
相談面接における基本的な姿勢においても大切な要素があります。
それが、『ラポール』、『アドボカシー』、『自己覚知』です。
ラポール
『ラポール』は、クライエントとの間に信頼関係を築いていくことです。
クライエントと接するときに、まずはこのラポールが第一ということが言えるでしょう。
アドボカシー
『アドボカシー』は、常にクライエントの立場に立って代弁し、権利を擁護するということです。
自己覚知
『自己覚知』は、自らの性格や個性を知り、感情や態度を意識的にコントロールする必要があります。
クライエントとうまくかかわるためのSOLER
クライエントに対して十分に関心をもっていることを自然に示す動作として、『SOLER』があります。
それぞれの頭文字を取ったものになっています。
Squarely : クライエントと真正面から向き合うことが大切です。
Open : クライエントに対して開いた姿勢でいることが大切です。
Lean : クライエントへ少し身体を傾けることが大切です。
Eye contact : クライエントとてきせつに目線を合わせることが大切です。
Relaxed : クライエントに対してリラックスして話を聴くことが大切です。