人間は、社会的動物ですが、その研究の分野の一つに、『社会的認知』があります。
『社会的認知』は、社会的な場面において、情報処理とその影響を研究の対象にしています。
対人認知と印象形成
社会的認知の中で、他者に注目して、人間が他者をどのように認知しているかを明らかにしていく研究分野が、対人認知になります。
対人認知では、受け取った情報を今までの経験や知識・スキーマで処理していきますが、その中で、多くの人に浸透している固定観念や思い込みであるステレオタイプや偏見などが生まれてきます。
ステレオタイプは、人間が社会的カテゴリーや集団に属する人達に対して持っている信念で、もちろん肯定的なものもありますが、中には偏見や差別といった否定的なものにつながるものもあります。
偏見や差別につながる否定的なステレオタイプの代表的なものとして、ヘイトスピーチがあります。
このように、いくつかの情報をもとにして、他者に対して判断を下すことは、『印象形成』と言われます。
人間の『印象形成』においては、中心特性という影響の大きい部分と、周辺特性という影響が小さい部分があります。
やっぱり初めは大切な印象形成
『印象形成』の中で、呈示順序効果と呼ばれるものと、初頭効果と呼ばれるものがあります。
呈示順序効果とは、他者の情報が提示される順序の影響で、初頭効果は、初期に接した情報で、この2つが印象形成において重要であるということがわかっています。
例えば、ある人がいて、その人に対する印象をAさんに次のような順番で示します。
知的 ⇒ 勤勉 ⇒ 衝動的 ⇒ 批判力がある ⇒ 強情 ⇒ 嫉妬深い
同様に、その人に対する印象をBさんに次のような順番で示します。
嫉妬深い ⇒ 強情 ⇒ 批判力がある ⇒ 衝動的 ⇒ 勤勉 ⇒ 知的
全体的には同じ6つの項目を言っているわけですが、同じ人でも、Aさんには良い人だなという印象を持たれやすく、Bさんには悪い人だという認知がされやすくなります。
いかに最初にもつ印象が大事かということがわかります。
対人魅力
対人威力には、美人だとか瞳が綺麗だといった身体的魅力、幼馴染であるとか家が近所だとかいう空間的近接、同じ趣味を持っているとか価値観が似ているといった類似性、自分にはない長所があるといった相補性などが影響しています。
こういった、身体的魅力、空間的近接、類似性、相補性などが作用して、人間は他社に魅力を感じます。
また、身だしなみが大切とよく言われ明日が、メガネ、口紅、髭、服装といったものも、第一印象として影響を及ぼします。