心理学の世界で用いられている分析方法にはどんなものがあるのでしょうか。
心理学の分野でも、分散分析、因子分析、重回帰分析等が行われています。
分散分析は、実験法でよく用いられる分析方法で、因子分析や重回帰分析等は、多くの変数をまとめて扱うことで共通していて多変?解析とも呼ばれます。
分散分析
『分散分析』が用いられるのは、3群以上の平均値を比較する場合によく用いられます。
「分散」とは、「偏差(得点-平均)」の2乗を平均した数値になります。
『多重比較』は、要因の水準が3つ以上あり、分散分析の検定結果が有意である場合の分析になります。
例としては、3クラスでの差をみる場合などがあげられます。
「測定値の全体平均からの変動」=「要因の効果に基づく変動」+「水準内での偶然的な変動」ということになります。
因子分析
『因子分析』は、直接測定される「観測変数」から、直接目に見えない「潜在変数」である因子を見出す分析になります。
「因子」は、目に見えない「心理学的構成概念」になります。
つまり、例えば、心理尺度の各項目から、直接目に見えない「外向性」などの因子を見出すのが因子分析になり、その因子とは、「自尊感情」などがあげられます。
単回帰分析と重回帰分析
『回帰分析』は、どんな時に使うのかというと、例えば雨の降る量(原因)と傘の売り上げ(結果)など、2変数に因果関係が予測されるときに行いられる分析法になります。
結果となる変数は「基準変数」、原因となる変数は「説明変数」と言われ、説明変数が1つの場合が『単回帰分析』、2つ胃所の場合が『重回帰分析』ということになります。
『回帰式』としては、Y(基準変数[目的変数])=β(標準偏回帰変数)X(説明[予測]変数)+C(切片[定数])というようになります。
重回帰分析をはじめ、多変量解析では、かなり高度な分析法も行われるようになってきています。
特に、構造方程式モデリングでは、構築したモデルがデータを説明する上でどの程度適切であるかを示す「適合度指標」を算出するのが特徴となっています。
また、従来の統計学とは異なり母数を定数と考えず、未知な量は全て確率的に変動すると考える「ベイズ統計学」など、心理学の領域でも、さらなる高度な分析手法が用いられつつあります。
『パス解析』は、回帰分析を繰り返し、仮説的モデルの因果関係を検討します。
『構造方程式モデリング』では、パス解析等のモデルがデータと適合しているかを表す適合度指標を算出できる構造方程式を用い、それぞれパス係数が算出されます。
『マルチレベル分析』は、階層データを扱う分析で、例えば、5つのクラスの生徒について個々の学力テストのデータがあるような場合、設定要因が学力テストに及ぼす影響について、個人間と集団間のいずれの影響が強いかを検討したりする手法です。
『メタ分析』は、同一のテーマについて行われた複数の研究成果を統計的な方法を用いて統合ずる、統計的レビューのことを指し、異なる研究間の結果を比較するための共通の物差しとして効果量を用いることが必要となってきます。