孫子の兵法を読み解いていくと、その中には必勝のための法則であったり、生きるための知恵が隠されていたりします。
敵を観察せよ
孫子の兵法 第九 行軍篇において、『必ず謹みて、之れを察せよ』という言葉があります。
孫子は、戦争に勝つためには、まずは伸長に敵を観察することが大切であるとしています。
戦国時代、忍者などに敵方の情報を探らすというのも、まずは敵を観察するということがいかに大事かということがわかっていたからでしょう。
戦争は、いつ攻撃をしかけるか、攻撃をしかけるタイミングが大切です。
どのタイミングで、どこに攻撃を集中させるのか、これを見極めることで、自陣の損失を最小限にしながら勝利に導くことができます。
それには、じっくりと『敵を観察する』ということが大切です。
●敵陣の近くに多数の鳥が止まっているな・・・ということはすでに敵兵はすでに陣を払った証拠だな
●水汲み係が水を汲みにきているが、水を汲む前に自分の喉を潤している・・・ということは敵軍は全軍、渇きに苦しんでいる証拠だな
●旗指物の動きが激しくなっているな・・・敵は戦列が混乱している証拠だな
このようにちょっとしたことを観察するだけで、敵の弱点を見抜くことができます。
何も戦争に限ったことではない
このように敵(相手)を観察することは、何も戦争に限ったことではありません。
わかりやすい例としては、対戦型のスポーツがあげられます。
柔道や剣道、ボクシングなどでは、上級者になると相手の選手の動きを観察していて、息があがっているから相手はだいぶ疲れていそうだな、守りすぎている感じだから怖がっているのかなといった具合に、相手を観察し、常に相手の弱点を探っています。
相手を上回るためには、観察力がものをいいます。
敵を知れ
戦争が下手くそな武将ほど、感情にまかせすぐに出たとこ勝負をしたりします。
これでは戦績も思わしくないでしょう。
孫子の兵法 第三 諜攻篇において、『彼れを知り、己を知らば、百戦してあやうからず』という言葉があります。
これは、相手の実情を知り、自分の実情も知り尽くしていれば、百回戦って危機に陥ることはないという意味になります。
戦いにおいて、敵軍と自軍の実情を正確に把握しておくことが大切になります。
一番いけないのは、希望的観測で、希望的観測は排除して、客観的データの収集に努め、その結果を冷静に分析することこそ大切です。
強い国には、確かな実力を備えた密偵と、緻密な戦略を立てる参謀がいるものです。
仕事や勉強についても、同じようなことが言えます。
仕事や勉強を無計画に始めるのではなく、まずは仕事量、仕事の難易度、勉強する範囲を確認し、分析し、どう攻略していくかを緻密に計画を立てたうえで始めたほうが、より効率的に仕事や勉強ができるということにつながります。