暴力・パワハラの線引きってどこからなの? | 薬剤師トピックス

最近、特に2020年の東京五輪を目の前にした権力闘争や派遣争いも絡んで、いろいろとスポーツ界で問題が起きています。

大相撲の貴ノ岩関に対する暴力問題、日大のアメフト部の問題、日本女子柔道の伊調馨選手の問題、日本女子体操の宮川選手に対する暴力問題&パワハラ疑惑、それ以降も連日のようにパワハラ暴力問題について報道されているといった感じです。

今と昔の感覚の違い

昔は特に悪いことをしていなくても、人に迷惑をかけていなくても、成績が悪いというだけで、ビンタだれたり、ケツバットされたりした。

戦前戦後の日本ではもっと厳しく、自分がきちんとやっていても、チームやグループで1人でもできていないと、連帯責任ということで往復ビンタされたり、腕立て伏せ50回なんていう罰もあったという話も聞いています。

 

もちろん、今では考えられないことですが、最近では生徒や新入社員が、ちょっと頭と小突かれただけで、すぐパワハラだとか、暴力教師だとか騒ぎたてる。
これもこれで非常に異常な状態で、日本が超暴力過敏症に陥っているような気もする。

古い考え方なのだろうが、あまりにも悪意をもって人様に迷惑をかけたような場合であるならば、ビンタぐらいされても当たり前で、人の痛みを感じることも時には大切なのではないだろうかとも思ってしまう。

パワハラの4要件

もっとも、ちょっと仕事上のことで注意したり、部下を教育しようとして勢いでちょっと頭をゴツンとやってしまったということで、パワハラだ! いやいや、手は出していないが、声を荒げてみんなの前で叱ったというだけでも、やられた本人がパワハラだと感じたらそれはもうパワハラなんだ!なんていうことになると、部下の教育すらろくにできないと嘆く上司も多いのではないだろうか。

どんな場合にパワハラになるのだろうか。その要件を調べてみました。

1.背景に、一定の社会環境内における「権力関係」がある

パワハラは必ずしも上司が部下にするものではなく、部下から上司へのパワハラといったこともあり得ます。

2.本来の業務範囲(業務に付随する指導・命令等)を超えた権力行使

「お前がいるから業績が伸びないんだ」なんていうことも、しょっちゅう言っているとパワハラとされてしまいますので注意が必要です。

3.問題とする行為が継続的に行われており、人としての尊厳・人格を違法に侵害されている

1~2度怒鳴ったぐらいでパワハラにされたら、おちおち注意すらできませんね。
必要以上に繰り返されている場合は当然パワハラになります。

4.問題の行為によって被害者の心身に著しい消耗が見られ、雇用環境の悪化や今後の雇用に不安

ここは、やられている本人がパワハラだと認識していなければ、それはパワハラにはならないということです。1~3の要件にすべて当てはまっていても、やられている本人がパワハラされていないという認識ならば、パワハラにはならないということです。

だから宮川選手の場合も、パワハラ問題ではなく、暴力問題ということで問題になっています。

やっかいな暴力

パワハラよりも線引きが難しいのが暴力です。
往復ビンタをすれば暴力、言葉の暴力、頭をコツンと軽く叩いただけで暴力、人によってどこから暴力と感じるかというのは主観となり違ってきます。

暴力が許される場合もある

暴力はいけないことですが、許されるケースもあるのです。
それが次の3つのケース

1.正当行為(例:暴れる犯人を取り押さえるなど)
2.正当防衛(例:強盗に対して反撃するなど)
3.緊急避難(例:道路に飛び出してきた子供をよけるため車を脇の商店に突っ込ませる。商店大破。)

こうなると、何が正当なのかとう、また新たな難しい問題もでてきてしまいます。
そのために弁護士がいるのでしょうが。。。

暴力はダメと強く主張する人

たとえば包丁をさわろうとした子供に、危ないからといって手をひっぱたいた!
これは子供の教育上、子供を叱ったんだ。
「包丁をさわると自分がけがをするかもしれないと心配して親がたたいた」これのどこが暴力なんだ? という人がいるかもしれないが、そもそも、手を叩かれたときに、包丁を触ると手を切る可能性があるので親が心配してくれて叩いたと理解する子供がどのぐらいいるだろうか。

百歩譲って、もし理解できる子供だとしたら、それは手を叩かずに口できちんと説明して聞かせればいいのです。
逆に、手を叩かれた理由があまりよく理解できない子供はどうするかというと、「今度は親の見ていないところで包丁をさわろう」と考えてしまうのです。

暴力がいけないとかタテマエやきれいごと言うなや!という人

タテマエなら、いくらでもきれいごとが言えます。
「暴力はいけない」などと正論をふりかざしても、「そっちは暴力を否定するなら、こっちは好き勝手させてもらうけど、文句はないな」なんてなってしまうかもしれないし、正当防衛の正当性の範囲ってどうなのよ・・・となってしまいます。

結局、弱肉強食の時代、こっちがやらなくちゃやられちゃうじゃない!、世の中勝負ごと、負けたら損というようになってしまいます。

大坂なおみ選手から学ぶ

大坂なおみ選手が、全米テニスで優勝しました。
大坂選手のコーチは、とにかく大坂選手の話をよく聞き、ポジティブなことしか言わず、褒めて元気づけてくれるといいます。
だからこそ、大坂選手が急激に力をつけることができたのかもしれません。
大坂なおみ選手が、まさに暴力では人は育たないということを立証してくれているのかもしれません。

暴力によるしつけは、その場で子供の行動をコントロールしたように見えて、実は瞬間的に子供をおびえさせているだけであり、暴力やパワハラでは一時的な好成績はだせても、それは本物ではないのです。
なぜなら、暴力は痛みや恐れ、腹立ちの種をまくばかりで、やられた方には大事なメッセージは何も伝わっていないからです。

本当に育てるならば、褒めて育てるのが良いのかもしれません。ただ、ここぞというところは、叱ることも大切なのではないかと思います。
叱り方が一番難しいのかもしれません。

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