『残りものには福がある』という格言もあり、くじはあとから引いたほうが当たりやすいと考えている人も多いと思います。
なぜ、残りものには福があるなのか
くじを引く場合、最初に引くとした場合、はずれの数が多いので、はずれる確率がずっと高いというイメージがあります。
しかし、はずれる人がたくさん出てくると、その分だけはずれの数が減るので、あとからくじを引くほうが当たる確率がどんどん高くなっていくと考えます。
だから、くじはあとに引いた方が当たりやすいとなるわけですが、確率のことがわかっている人は当然、そんなの最初に引こうが、最後に引こうが、当たる確率は同じだとすぐにわかるのです。
そもそも、もし当たる確率が順番によって変わるのであれば、10本のうち1本が当たりというくじを、順番で引いていったときと、10人いっせいに引いたときの確率は違ってきてしまうことになります。
実際に検証
本当に、最初に引いても後から引いても確率は同じなのかということで、わかりやすく例をあげて説明してみます。
10本のうち3本が当たりというくじがあり、これをAさん、Bさんの順に引くとします。
このときに、Aさんが当たりを引く確率と、Bさんが当たりを引く確率を比較してみます。
まず最初にAさんが当たりくじを引く確率ですが、3/10です。
次にBさんが当たりを引く確率は、Aさんが当たってBさんも当たる確率と、AさんがはずれBさんが当たる確率の2通りになります。
Aさんが当たり、Bさんも当たる確率は、(3/10)×(2/9)=6/90になります。
Aさんがはずれ、Bさんが当たる確率は、(7/10)×(3/9)=21/90になります。
これを足せばBさんが当たる確率になるので、Bさんが当たる確率は、(6/90)+(21/90)=27/90=3/10
つまり、Aさんが当たる確率もBさんが当たる確率も3/10で、同じだということになります。
くじの順番を決めるくじは無意味だけどなんでやるの?
よく自治会とか町内会でくじ引きするときに、公平をきするためにまずは最初のくじで、くじを引く順番を決めて、それから本番でその順番でくじを引いていきましょうというようなことがやられていますが、これは数学的に考えると無意味です。
くじが当たる確率は、くじを引く順番にかぎらず同じだからです。
でも、少し遅刻してくじ引く順番が後になってしまったので、当たりくじが引けなかったのは不公平だなどと、イメージでクレームをつける人もいたりします。
もちろん、こうした人にも、確率は同じなんだよと説明すればいいのですが、説明してもわかってくれなかったり、そう思い込んでしまっていると、話がこじれたりすることもあります。
ですので、数学的にはまったく無意味だとわかっていても、それじゃ、まずはくじを引く順番で不公平をなくそうということにしているのです。
下手に論理的に説明して感情的にこじれたり、すぐに理解できない人に一生懸命説明する時間がもったいなかったりもするので、それじゃくじ引く順番をまずは決めましょうとやっているだけなのです。