医療費削減と言われる中、残薬が問題となってきました。
残薬というのは、処方された薬を持ち帰った患者さんがその薬を飲みきれずに、患者さんの自宅に薬がたまってしまっていることです。

残薬対策の経済的効果

医療薬学 40(9),2014, p522-529 『保険薬局における残薬の確認に伴う疑義照会が及ぼす調剤医療費削減効果の検討』という論文がでているのですが、この論文によると、薬剤師が調剤時に患者さんに残薬確認を行い、疑義照会をすることで、年間約118億円の調剤医療費が削減できたとしています。
平成24年5月から7月に受付した処方箋29,875件に対して、1,053件の疑義照会が行われ、処方箋1件あたりの調剤医療費削減額が15.0円であったことから、年間処方箋受付回数を約8億回とすると、ざっと約120億円の調剤医療費が削減できるという試算になっています。

また全国にある残薬の合計は年400億円を超えるという推計も出ています。

残薬対策モデル事業

残薬を減らしていこうという試みもなされていて、次のようなことが行われています。

  • 残薬持参用バッグを作って、薬局利用の患者さんや家族等に配布する。
  • ポスター、チラシ、ホームページなどを利用して、残薬の再利用の重要性を啓発して、薬剤師が患者の生活環境や身体状況に応じた服薬支援方法を提案していく。
  • 残薬相談受付から薬学的管理につながるようなシステムを構築して、各薬局において実施していく。
  • 残薬発生原因や改善策を検討すべき、残薬相談対応事例調査や、残薬再利用による薬剤費削減減額の調査等を実施する。

残薬となっていまう原因

残薬となる原因としては、つい飲み忘れてしまってその分が余ってしまったり、途中で症状が良くなったり、途中で薬が変更されたことにより残薬となってしまうというケースがよくあります。
高齢者であったり、生活習慣病で何種類もの薬を日常的に服用している人は、薬の管理も難しく、つい薬を飲み忘れたりして残薬が増えてしまったりします。

しかし、飲み忘れたりして残薬になってしまった薬があっても、患者さんからするとその後ろめたさから、医師などに相談せずそのままになっていて、そこでまた薬を処方されてしまいます。
飲み忘れてしまうだけならまだしも、

全然関係ない時に、
「以前、お医者さんからもらったお薬だから・・・」
といって服用したり、

「これ、余ったからあなたにあげるわよ」
といって人にあげてしまったり

こんなことが起こってしまいます。
もちろん医師の指示なしに、病院などで処方された薬を自己判断で飲むことはリスクがありますし、こんなことをしてはいけません。

医師は、きちんと処方した間の期間で服用されることを前提として処方していますし、薬剤師もそれを前提として調剤しています。
もし長い間経ってから、以前処方してもらった薬だからといって自己判断で薬を服用されてしまうと、保管されている間に薬が劣化している可能性もあります。

残薬確認のためにも有効なおくすり手帳

最近では、おくすり手帳にきちんと記載があれば、もし残薬がありそうな場合は薬剤師が調剤した時に、飲み忘れがあることについて確認してきたりします。
場合によっては、薬剤師が医師に相談して、処方した薬の量を残薬がある分だけ減らしてくれたり、飲み忘れが少なくなるように包装方法を工夫するといった対策をしたりすることもあります。

残薬をもし処理したい場合も、薬局に持っていけば、きちんと処理をしてもらえます。