「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」が、5月から9月まで実施されていて、特に7月は熱中症予防強化月間になっています。
毎年熱中症による死亡例も出ていて、特に注意しなければいけないのが7月と8月。
平成25年から29年までの5年間の月別熱中症による死亡例をみると、6月が5人、7月が42人、8月が47人、9月が4人、それ以外が1人となっていて、7月と8月に集中しているのがわかります。
時間別にみると、11時台と、14時台から16時台が多くなっています。
WBGT値とは
熱中症の話をするときによく出てくるのが、WBGT値です。
WBGT値は別名、暑さ指標とも呼ばれるものです。
実際に測定器を使って測定されます。
WBGT値(暑さ指標)は、湿球温度・黒球温度・乾球温度などを測定し、次のような算出式で計算されます。
屋外での算出式
WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度
屋内での算出式
WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度
湿球温度
強制通風することなく、輻射(放射)熱を防ぐための球部の囲いをしない環境に置かれた濡れガーゼで覆った温度計が示す値
黒球温度
次の特性を持つ中空黒球の中心に位置する温度計の示す温度
- 直径が150mmであること
- 平均放射率が0.95(つや消し黒色球)であること
- 厚さが出来るだけ薄いこと
乾球温度
周囲の通風を妨げない状態で、輻射(放射)熱による影響を受けないように球部を囲って測定された乾球温度計が示す値
最近では、いちいち計算しなくても、熱中症のリスクが色分けでわかりやすく表示されるWBGT指数表記環境管理温・湿度計が市販されています。
特に中高年齢労働者へは配慮が必要
WBGT基準値は、成年男性を基準に設定されています。
ですので、実際には労働者の年齢に合わせた作業強度を設定するなど、中高年齢労働者に配慮した対策が必要となってきます。
特に中高年齢労働者では、加齢に伴い、脱水していても口渇き感が少ないことがあるため、進んで水分を摂取するといった対策が必要になってきます。
WBGT熱ストレス指数の基準値表(各条件に対応した基準値)
区分 | 例 | WBGT基準値 | |||
熱に順化している人 ℃ | 熱に順化していない人 ℃ | ||||
安静 | 安静 | 33 | 32 | ||
低代謝率 | 楽な座位;軽い手作業(書く、タイピング、描く、縫う、簿記);手及び腕の作業(小さいペンチツール、点検、組立てや軽い材料の区分け);腕と脚の作業(普通の状態での乗り物の運転、足のスイッチやペダルの操作)。立体;ドリル(小さい部分);フライス盤(小さい部分);コイル巻き;小さい電気子巻き;小さい力の道具の機械;ちょっとした歩き(速さ3.5km/h) | 30 | 29 | ||
中程度代謝率 | 継続した頭と腕の作業(くぎ打ち、盛土);腕と脚の作業(トラックのオフロード操縦、トラクター及び建設車両);腕と胴体の作業(空気ハンマーの作業、トラクター組立て、しっくい塗り、中くらいの重さの材料を断続的に持つ作業、草むしり、草堀り、果物や野菜を摘む);軽量な荷車や手押し車を押したり引いたりする;3.5~5.5km/hの速さで歩く;追突 | 28 | 26 | ||
高代謝率 | 強度の腕と胴体の作業;重い材料を運ぶ;シャベルを使う;大ハンマー作業;のこぎりをひく;硬い木にかんなをかけたりのみで彫る;草刈り;掘る;5.5~7km/hの速さで歩く。重い荷物の荷車や手押し車を押したり引いたりする;鋳物を削る;コンクリートブロックを積む。 | 気流を感じないとき | 気流を感じるとき | 気流を感じないとき | 気流を感じるとき |
25 | 26 | 22 | 23 | ||
極高代謝率 | 最大速度の速さでとても激しい活動;おのを振るう;激しくシャベルを使ったり掘ったりする;階段を登る、走る、7km/hより速く歩く。 | 23 | 25 | 18 | 20 |
日本工業規格Z 8504(人間工学―WBGT(湿球黒球温度)指数に基づく作業者の熱ストレスの評価―暑熱環境)附属書A「WBGT熱ストレス指数の基準値表」を基に、同表に示す代謝率レベルを具体的な例に置き換えて作成した。
熱に順化していない人とは、「作業する前の週に毎日熱にばく露されていなかった人」をいう。
衣類の組合せによりWBGT 値に加えるべき補正値
衣類の種類 | WBGT 値に加えるべき補正値(℃) |
作業服(長袖シャツとズボン) | 0 |
布(織物)製つなぎ服 | 0 |
二層の布(織物)製服 | 3 |
SMS ポリプロピレン製つなぎ服 | 0.5 |
ポリオレフィン布製つなぎ服 | 1 |
限定用途の蒸気不浸透性つなぎ服 | 11 |
命を守る熱中症対策
- 単独作業は控え、休憩時間は長めに
- 作業中は心拍数、体温、尿回数・色などを把握し、水分や塩分の補給を忘れずに