科学の体系とメソッド | 薬剤師トピックス

科学・学問で最も大切なものは論理、つまり理屈です。

理屈で説明できなかったら、私たちの周りの自然の成り立ちや社会の成り立ちは理解できませんし、それを人に説明することも、議論することもできなくなってしまいます。

幾何学の父と言われるユークリッド

科学の論理体系について明確な仕組みを提示したのが、幾何学の父と言われる古代ギリシャのユークリッドです。

ユークリッドは、「幾何学言論」という本において、論理には出発点があることを示しています。

数学では、これ以上証明できない命題(判断する事柄)のことを公理と言います。

点や直線などを定義します。
そして公理と、定義から出発して論理を駆使してさまざまな定理を導くというのが、科学の土台をなす考え方としています。

つまり論理には出発点があり、出発点が異なれば結果が違ってきます。

いろいろな学術的な学会においても議論がかみ合わないケースがありますが、こうした場合は、お互いの論理はただしくても、議論の出発点が双方で異なっているために議論がかみ合わなくなってしまう場合も多いのです。

ガリレオ・ガリレイと自然科学

数学のような厳密な論理体系のものについては、ユークリッドの公理方法法は非常にわかりやすいのですが、イタリアのガリレオ・ガリレイは、自然科学にもっとピッタリな模範的方法を示しています。

ガリレイは、公理の代わりに「仮説」というものから出発して、論理を発展させ、ある結論を導き、その結果を実験で検証するという方法です。

「仮説」というものは最初から出てくることは稀で、実験や経験の積み重ねの中から何かをつかみ、「こうではないだろうか」と考え仮説としてまとめられます。

強力な仮説と検証のモデルを考えたカルノー

フランスのニコラ・カルノーは、熱の本質を見破ったことで知られていますが、「カルノー・サイクル」と称するモデルを考えて、熱力学という学問の基礎的な定理を導いています。

カルノーのモデルでは、仮設の補助手段としてモデルをつくり、そのモデルを用いて思考をしていきます。
この思考結果を実際に当てはめて検証していきます。

カルノーはまず、熱から動力を生み出すのには温度差が必要だとしています。
そしてカルノーは、熱が高温の物体から低温の物体へ移動することで物体が膨張・収縮し、その結果として仕事が生み出されると考え、熱から無駄なく動力を得るためには、常に温度および圧力の釣り合いを保った変化を行わせることが必要であるとしました。

また、このような変化を組み合わせたサイクルを逆に動かせば、同じ動力で同じ熱量を汲み上げる熱ポンプとして動作できるのではないかと考えたのです。

こうして科学の仮説と検証の方法が発展していきました。

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