統計学の発展の歴史 | 薬剤師トピックス

統計学は、薬の有効性や安全性、臨床データといった医療分野のみならず、いろいろな製品の製造過程での管理、アンケート結果など、さまざまな分野で、統計を取り、それを分析し検証し改善していくという点で重要になっています。

この統計学はどのようにして発展してきたのでしょうか。

統計学は国の状態把握からはじまった

統計学は、英語でいうと「statistic」になります。

実はこの「statistic」の語源は、国「state」の状態を表す「status」からきています。

つまり、統計学はこの語源からもわかるように、統治のために国の状態を把握するという必要性から生まれたのです。

古代ローマ帝国では、紀元前からセンサス(census)と呼ばれる戸籍調査が行われていました。

ヨーロッパでの統計学の発展

センサスは、今でも人口や産業など国や地域の様々な側面に関して、調査対象のすべてを調べる統計調査という意味の言葉になっています。

その後、ローマ帝国は滅び、センサスは一旦なくなります。

その後、17世紀になり、イギリスでピューリタン革命が起こり、その後、人口や土地の大きさ、資産価値や生産高などを通して、国力や国富を調査するようになり、これをイギリスの統計学者であったペティが『政治算術』と名付けました。

一方、ドイツでは、三十年戦争に負け、経済発展が遅れていましたが、コンリングが国家のための長兄とはどうあるべきなのかを、人口や土地を中心に論じ、『国情論』という学問を提唱しました。

ドイツの『国情論』は、イギリスの『政治算術』に比べるとより観念的です。

またアッヘンヴァルは、『ヨーロッパ諸国の構造概要』という著書の中で、「統計は数量と重量と尺度によって表されるべきだ」という考えを示しています。

このように、17世紀のヨーロッパにおいて、統計を国家の目的とは別に、学問として確立していこうという動きがでてきました。

アジアでの統計学

アジアで歴史がある国といったら、中国ですが、中国では二千数百年まえから税を徴収するために人口調査を実施してきています。

中国では、ヨーロッパと違い常に統一国家が存在していたため、中世においても人口調査がおこなわれてきています。

日本はどうだったのかというと、日本でも大化の改新で班田収授法が発令され、6年に1度全国的な戸籍調査が行われ、それは役360年間も続いています。

1592年には、豊臣秀吉が朝鮮出兵のための兵力把握のために、村ごとの家族構成などをまとめて提出させる人掃令によって、全国的な戸籍調査を行っています。

江戸時代になると第8代将軍徳川吉宗により、キリシタンを取り締まるという目的で全国人口調査が行われていますが、正確なものではありませんでした。

日本で最初に国勢調査が行われたのは1920年の大正時代に入ってからで、その後日本では、原則5年に1度、国勢調査が行われるようになっています。

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