結論から言うと、「肥満は遺伝します。」
肥満の要因
アメリカ人には肥満の人が多いけど、日本人はそれほどでもないというような感覚を持っている人もいると思います。
また肥満の人の兄弟は、肥満である場合が多い傾向があります。
子供のとき肥満だった場合、大人になっても肥満になるリスクが高く、肥満の子供がそのまま肥満の大人になり、そこから肥満の子供が生まれるということがよくあります。
たしかに、肥満に関連した遺伝的特性はありますが、一方で肥満が社会問題とされてきたのは、1970年代に入ったころからです。
それより前までは、肥満の人が今ほど多いという感じではなく、そんなに短期間に人間の遺伝子が変化するはずもありません。
そこで、肥満遺伝子は存在するものの、肥満となる要素が他にもあるということになり、1970年代から変化したものを考えると、生活習慣・食習慣になるのではないかと思います。
1日の食事回数が増えたり、ファーストフード店が増えていったり、車などの乗り物が便利になり歩かなくなったり、スマホやテレビゲームが流行って体を動かさなくなったり、添加糖が入った食品が増えたというようないろいろな要因が考えられます。
親が太っていれば子供も太るのか
養子になった540人の成人に対し、生みの親と育ての親との比較を行った研究があります。
この研究からわかることは、もし肥満に最も影響をあたえるのが環境的な要因であれば、養子は養父母に似るし、もし肥満に最も影響をあたえるのが遺伝的な要因であれば、養子は生みの親に似るはずです。
この研究で出た結果はというと、「養父母と養子の体重に、相関関係は見られなかった。」ということでした。
一方で、「生みの親と養子の体重には、一貫した相関関係が見られた。」という結果になっています。
太る原因の7割は遺伝
これ以外にも、別々の環境で育てられた一卵性双生児の研究もあり、別々に育てられた一卵性双生児・二卵性双生児と、一緒に育てられた一卵性双生児・二卵性双生児を調査した結果、肥満を決定づける要素の約7割が遺伝によるものという結論が出ています。
つまり、肥満になりやすいかどうかは、70%は遺伝によって決まるということになります。
しかし、肥満は遺伝なのねとあきらめたりする必要は全然ありません。
実際に、昔はそんな肥満はいなかったという事実からもそれはわかります。
逆の言い方をすれば、遺伝的要因として肥満が説明できるのは70%であり、残りの30%は自分でコントロールできるということになります。