院内感染の経路と予防策 | 薬剤師トピックス

病院はいろいろな疾患を持った患者がいて、検査や治療・ケアを受けている状況にあり、いりろな患者が多くいることに加えて、免疫機能が弱った患者もたくさんいることから、もとの疾患とは別に感染症にかかるリスクも高くなります。

院内感染の定義と概念

日本とアメリカでは、『院内感染』に対する定義や概念が違っています。

日本『院内感染』というと、「病院内で接種された微生物による感染」といったように病原体中心の視点に立った考え方になっています。

一方、アメリカでは「入院後72時間以降に発生した感染症」『院内感染』と定義していて、これは、つまり『院内感染』は、入院患者の感染管理の問題であるという視点が大きくなっています。

院内感染には、患者が感染の被害者になる場合と、医療従事者が被害者になる業務感染があり、その防止には病原体の感染経路に対応した対策をしっかりしていくことが重要になります。

院内感染の感染経路

院内感染の感染経路は、大きくわけると空気感染(飛沫核感染)、被圧感染、接触感染になります。

咳や喀痰などの飛沫は5μ以下の粒子で感想しても感染力を失わない病原体により空気感染が起こります。

5μ以下の粒子は長時間空気中を漂うので、感染の危険は広範囲に及びますが、院内感染の場合、結核・麻疹・水痘などの患者は特に注意が必要になります。

飛沫感染は、粒子が5μ以上の粒子で、咳やくしゃみによって出た飛沫が、十分乾燥しない状態で感染力を持つもので、影響を受ける範囲としては1mくらいになり、空気感染より感染の範囲は狭くなります。

飛沫感染に気をつけたいものとしては、インフルエンザ、ジフテリア、溶連菌感染、マイコプラズマ、流行性耳下腺炎などがあります。

接触感染は、医療従事者などの手指を介して、保菌者から病原体が伝搬されていくもので、ウイルス性出血熱、急性ウイルス出血性結膜炎、疥癬などがあります。

院内感染の予防策

それでは、こうした院内感染をどうやって防ぐかという点が問題になってきます。

院内では、血液や体液は感染のリスクがあるという認識のもと、こうした血液や体液、さらには傷がある皮膚や粘膜に触れた場合、さらにそうしたものに汚染されたものに触れる場合は手袋を着用しています。

もちろん手袋を外した後は、しっかりと手洗いをし、万一手袋をしないで、汚染物質に触れてしまった場合は、ただちに手洗いをすることが大切です。

空気感染の予防策は、原則患者は個室に入れ、周囲の区域に対して陰圧にしておくなどの対策になります。

飛沫感染の予防策としては、患者のベッド間隔を2m以上とり、その間にパーテーションやカーテンによる仕切りをつくるなどが望ましいと言えます。

最新情報をチェックしよう!