飲み込める小さな「カプセル内視鏡」 | 薬剤師トピックス

内視鏡というと、口や鼻、肛門からスコープを挿入して、その先端を医師が画像を見ながら上下左右に動かして検査や処置を行っていくというイメージがあります。

しかしこの方法だと全消化管の75%を占めていて全長が6~7mにもなる小腸は十分に観察することができません。

超簡単なカプセル内視鏡

そこで登場したのが『カプセル内視鏡』です。

『カプセル内視鏡』は、レンズやイメージセンサーがついた小さなカプセルを飲み込むだけで、複雑に入り組んだ小腸も検査できる内視鏡です。

つまり小型カメラを丸ごと飲みこむのが『カプセル内視鏡』と言えるでしょう。

カプセル内視鏡には、小腸粘膜の撮像を行う小腸カプセル内視鏡と、大腸疾患の診断を行うために、大腸粘膜の撮像を行う大腸カプセル内視鏡の2種類があります。

体の中を見る原理・しくみについては小腸カプセル内視鏡も大腸カプセル内視鏡も同じです。

カプセル内視鏡による検査

撮影原理はスコープを用いた内視鏡と同じですが、スコープ無しで検査できるように、小型化し、バッテリーや受診アンテナを装備し画像信号を送るようになっています。

カプセル内視鏡には、照明用LED、小型レンズ、イメージセンサー、電気回路、バッテリーが内臓されていて、まず画像を撮影するときにバッテリーがONになりLEDが消化管(小腸や大腸)を照明し、その画像は小型レンズによって画像として見ることができるようになっています。

LEDに照らされた小腸・大腸を小型レンズを通し、スマホカメラなどにも使われている人間の目の網膜に該当するイメージセンサーに取り込んで像を結びます。

その像の光の明暗は電気信号に変換され、無線で患者の体に前もって装着してもらっている受信アンテナに送られ画像として見ることができるのです。

カプセル内視鏡のメリット

『カプセル内視鏡』のメリットは、なんといっても患者の精神的負担があまりないということです。

アンテナやレコーダーを装着したカプセルを飲むだけですので、検査時に口からスコープを入れられ「オエッ」とくる苦痛がありませんし、苦痛を和らげる鎮痛剤も不要です。

さらに肛門などからスコープを入れられるといった恥ずかしさもありません。

スコープ操作を行う場合に比べると、消化管の動きに合わせてカプセルが進んでいくので体を傷づけるリスクが低いと考えられます。

検査開始2時間後からお水、4時間後から軽い食事を取ることができ、普段どおり日常生活を送りながら検査をすることができます。

カプセル内視鏡の使用はケースバイケース

『カプセル内視鏡』は、デメリットもあります。

クローン病等の狭窄や腸閉塞等の通過障害が疑われる患者には向いていません。

こうした患者の場合には、カプセル内視鏡を使用する前に、ダミーカプセルを飲み、約30時間後にダミーカプセルが肛門から出てくるかの消化管開通判定を行い、狭窄等がないことを確認することが大切です。

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