エバーグリーンが寒い冬でも緑の葉をつけていられるのはなぜ? | 薬剤師トピックス

植物の多くは、秋から冬になると、葉っぱを落としてしまいますが、中には一年中緑の葉を落とさずにいるものもあります。

エバーグリーンの木々たち

エバーグリーン、つまり常緑樹と呼ばれている植物は、1年中緑色の葉っぱをつけています。

具体的にどんな植物があるのかというと、スギ・マツ・モミ・ツバキ・キンモクセイなどが常緑樹にあたります。

昔から、人々は冬になってもその寒さにも負けずに枯れない輝かしい緑の葉をつけた樹木を、永遠の命の象徴ととらえて、霊木や神木として崇めてきたりもしました。

ちなみに、神事に神木として用いられるサカキの枝葉、仏様やお墓に供えられるシキビを考えてみても、サカキもシキビもいずれも常緑樹になっています。

こうした樹木は、古来より神社やお寺に大切に植栽され、尊ばれてきています。

常緑樹の緑の葉が1年中落ちないのは寒さに強いからだけではない

なぜ周りの木々が秋から冬になると葉っぱを落としてしまうのに、常緑樹は緑の葉をつけたままでいられるのかについて、寒さに強いからではないかと思われる人がいると思います。

もちろん、その考えは間違っていません。

しかし、常緑樹は寒さに備えて努力をしているのです。

その証拠に、常緑樹の葉っぱを、暑い夏にいきなり冬のような低温にさらすと、その葉っぱは低温に耐えられずに凍って枯れてしまうのです。

しかし実際には、常緑樹の葉っぱは、冬の低温で凍らないのです。

常緑樹の葉が凍らない理由

それではなぜ、自然の常緑樹の葉っぱは冬の低温でも凍らないのでしょうか。

それは、常緑樹は冬の寒さに向けて、葉っぱの中に冬に向かって凍らない物質を増やして準備をしているのではないかと推測されます。

その物質の一つが糖分で、葉っぱに糖分が増すと凍りにくくなるのです。

砂糖を水に溶かすと、水が凍ってしまっても、砂糖水は凍らず、また溶けている砂糖の量が多くなればなるほど凍りにくくなります。

つまり、葉っぱが糖分を貯めていくことによって、凍る温度が低くなる凝固点降下が起きているのです。

常緑樹は、冬に向けて葉っぱに糖分を貯め込んでいき、そのため冬の寒さでも凍らず、緑のままなのです。

糖分の他にも、ビタミン類などもその含有量が増え、より一層、常緑樹の葉っぱは凍りにくくなっていきます。

ちなみに、早春のダイコンやハクサイは甘いと言われますが、これも冬の寒さを通りこしてきたもので、糖分が増えていて、甘味が増しているのです。

ニンジンやキャベツにおいても、早春に食べるとやはり甘いのです。

ホウレンソウなどは、冬に暖かい温室で育てられますが、出荷前にわざわざ一定期間、温室の中に冬の寒風を吹き込ませ、寒さにさらせて寒じめホウレンソウなどとして出荷されるものもありますが、これも寒さにさらすことにより糖分を増して、甘味を増やすことが目的なのです。

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