放射線の種類と特徴 | 薬剤師トピックス

放射線とは、放射性物質から放出される粒子や電磁波のことを指します。

放射線を大きく分けると、α線、β線、中性子線などの粒子の流れと、γ線、X線といった電磁波があります。

そして放射線を出す物質のことを『放射性物質』、放射線を放出する能力を『放射能』といいます。

放射線の種類

放射線のうち粒子線に該当するものとしては、ヘリウムの原子核であるα線、陰電子又は陽電子といった電子にあたるβ線、中性子の中性子線、ヘリウム・ネオン・シリオン・炭素・アルゴンなどの重イオンである重粒子線があります。

電磁波には、紫外線よりも波長が短い0.01~10nmのX線、エネルギー準位の変化などに伴って原子核から放出される電磁波であるγ線があります。

放射線の作用としては、電離作用、励起作用、蛍光作用、感光作用などがあります。

電離作用とは、放射線が物質に当たって、物質を構成している原子の中から電子をはじき飛ばす作用で、原子や分子を直接電離するα線やβ線、一度原子の束縛電子や原子核と相互作用して荷電粒子線を発生させ、二次的に生じた荷電粒子線が電離作用を及ぼすγ線とX線に分かれます。

励起作用は、放射線が軌道電子をエネルギー準位の高い気道に押し上げる作用のことで、蛍光作用は、放射線が蛍光物質を励起して、その物質から蛍光を出す作用になります。

感光作用は、放射線が乳剤をイオン化して、露光したものと同じ状態にする作用で、この作用を利用したのがレントゲン写真になります。

電離作用は、α線>β線>γ線の順に大きく、透過性は逆にγ線>β線>α線の順に大きくなっています。

γ線とX線

γ線もX線もともに電磁波ですが、γ線は励起状態の核が基底状態の核に移る際に、核内から発生するのに対し、X線は核外から発生します。

γ線やX線といった電磁波は、α線やβ線といった粒子線とは違い、光電効果、コンプトン効果、電子対生成作用があります。

光電効果とは、光子が原子に衝突する際に、その原子の軌道電子に全エネルギーを与えて、光電子として原子から飛び出させ、光子自身は消滅していく現象です。

コンプトン効果とは、光子が原子の軌道電子と衝突して、エネルギーの一部を電子に与えて飛び出させ、光子自身は小さに振動数の光子となって散乱する現象を言います。

放射線の単位

放射線の単位としては、ベクレルとシーベルトというのは聞いたことがあるという人も多いと思います。

ベクレルもシーベルトも放射線に関する研究で功績があった物理学者の名前からきていて、ベクレルはフランスのアンリ・ベクレル氏、シーベルトはスウェーデンのロルフ・マキシミリアン・シーベルト氏に由来しています。

『ベクレル』は放射能に注目した単位で、1秒間に1つの原子核が崩壊※することが、1ベクレルと定義されていて、物質の放射能の強さを表す単位になっていて、この肉は、放射性物質の『カリウム40』が1kgあたり100ベクレル程度含まれていますというような言い方になります。

『シーベルト』は放射線を受ける方に注目した単位で、人が受けた放射線の量を表すもので、人体への影響度合いを測る物差しになっていて、東京~ニューヨーク間を航空機で往復するときに受ける放射線は0.2ミリシーベルトであるというような言い方になります。

その他の単位としては、『グレイ(Gy)』があり、これは物質が放射線のエネルギーをどれだけ吸収したかを表す単位になっていて、1Gyは、1kgあたり1Jのエネルギーを吸収したときの線量になります。

放射線の遮蔽

放射線の遮蔽ですが、α線は紙でも遮蔽できます。

β線は、アルミニウムなどの薄い金属板で遮蔽することができます。

γ線やX線になると、鉛や鉄の厚い板でないと遮蔽できません。

中性子線は、鉛や鉄の厚い板でも通り、コンクリートや水で遮蔽されます。

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