AIの診断も万全ではない | 薬剤師トピックス

AIは多くのデータを記憶するという点においては、人間よりもはるかに優れています。

膨大なデータを記憶して、瞬時に処理をするといったことに関しては、人間はAIにはかないません。

さらに、最近のAIは、ディープラーニングができ、どんどん学習していくことができます。

従って、AIというとすごいというイメージを持つ人も多くいると思いますが、AIはあくまでも確率を出して、医師の診療の手助けをするものなのです。

医療分野で活躍するAI

AIの技術はさまざまな分野・産業に応用できますが、医療分野も例外ではありません。

例えば、医療分野では、患者の症状から病名を診断し、治療する過程において、過去の膨大な症例や文献の集積と照合がありますが、こうした分野では特にAIが優れています。

医療ドラマのドクターXにおいても、患者の診断にAIを用いて、疾患Aの確率85%、疾患Bの確率12%といったようなシーンがあったと思います。

さらに、AIを搭載した手術用ロボットなども開発されて、正確な手術もできるようになっています。

膨大な医療情報や文献の中から計算するAIワトソン

東京大学医科学研究所では、IBMのAIワトソンに2000万本以上の論文と1500万件以上の薬剤関連情報を学習させ、その結果、患者の女性が極めて稀な白血病を患っていることをわずか10分で見抜き、適切な治療薬に変更されたことで、症状が改善し退院するまでに回復したという事例もあります。

一人の医師が何千万もの論文を読破し、しかもそれを全て頭の中にインプットしていて、それを必要に応じて頭の中から取り出して活用するといったことは至難の業です。

膨大な過去の症例、遺伝情報、医学論文の中から、患者の症状を考えて病名を判断して、適切な治療法の判断を下すことはとても大変なことで、さらに日々進歩する医薬情報のアップデートや新しい治療技術や新薬の情報も追加してインプットしていかなければならないとなると、日頃から患者を診断している医師では、能力的な問題、時間という物理的な問題の制限を考えても事実上不可能と言えます。

IBMのAIワトソンでは、人間だと2週間かかる分析をたった10分でこなしています。

AIの助けをかりて最終的には医師が判断

いくらAIが発達したからといって、専門家に代われるものではありません。

AIは、確かにビッグデータの蓄積や解析においては、人間よりも優れています。

しかし、AIができるのは、あくまでも多くの症例や論文の中から、推測される病名の可能性を確率で提示し、その治療薬候補を提示するまでです。

AIはあくまでも確率しか出してくれません。

もしかしたら、確率90%ではなく確率5%とAIが出した疾患のほうが正解かもしれません。

いくら何千万もの論文や症例をインプットしたところで、漏れがあったり、情報としてたらなかったりする場合もあります。

また、とある情報があったために、判断が180度変わってくるといったケースもあります。

そもそも、AIにデータをインプットするのは人間ですし、AIが出した結果に対して最終的にジャッジするのも人間です。

どんな情報をどんな形でAIに学習させるのか、AIをどのような形で活用するのか、AIが出した結論をどう判断していくのかといった最終判断は、医師の手に委ねられています。

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