食中毒の原因として多いサルモネラ・腸炎ビブリオ・カンピロバクターについて、その特徴や予防法についてまとめてみました。
サルモネラ菌
サルモネラ属菌(Salmonella spp.)は、グラム陰性桿菌で、通性嫌気性菌になります。
サルモネラ菌は、動物の腸管、自然界の川や下水、湖等に広く分 布していて、生肉、特に鶏肉と卵を汚染することが多く、サルモネラ菌による食中毒の原因食品になっています。
サルモネラ菌は、乾燥に強い特徴があります。
また卵又はその加工品、牛レバー刺しや鶏肉といった食肉、うなぎ、すっぽん、乾燥イカ菓子等も原因食品となっています。
さらに食中毒菌で汚染されている食品、調理器具等と接触することによって新たに汚染された二次汚染によって起こるケースもあります。
サルモネラ菌は、極めて少量の10~100個でも発症することがあります。
サルモネラ菌に感染すると、その潜伏期は6 ~72時間で、主症状として激しい腹痛、下痢、発熱、嘔吐などがあらわれ、長期にわたり保菌者となることもあります。
サルモネラ菌の至適増殖温度は、35?43℃とされています。
肉や卵は十分に75℃以上で1分以上、十分に加熱することが大切です。
特に卵の生食は、新鮮なものに限るようにしましょう。
低温保存は有効な方法ですが、過信は禁物ですので注意するようにします。
腸炎ビブリオ
腸炎ビブリオ (Vibrio parahaemolyticus)は、グラム陰性桿菌で、通性嫌気性菌になります。
海の河口部、沿岸部等)に生息し、真水や酸に弱い特徴があります。
浅漬け等の3%前後の食塩を含む食品中でよく増殖し、室温でも速やかに増殖していきます。
腸炎ビブリオは菌は、60℃で10分間の加熱をすることにより殺菌されますが、60℃で10分の加熱により失活する易熱性の耐熱性溶血毒類似毒素の他に、100℃15分の加熱でも無毒化されない耐熱性溶血毒素等も産生します。
刺身、寿司、魚介加工品といった魚介類食品が原因食品となる他、二次汚染により漬物、生野菜等などが感染源となることもあります。
腸炎ビブリオの潜伏期間は8 ~24時間で、主症状としては、腹痛、水様性下痢、発熱、嘔吐などの症状がでてきます。
至適増殖温度が35~37℃で、魚介類は低温での流通が重要になったきます。
短時間でも冷蔵庫に保存し、増殖を抑えることが大切です。
カンピロバクター・ジェジュニ/コリ
カンピロバクター属菌 (カンピロバクター・ジェジュニ/コリ)は、(Campylobacter jejuni/coli)で、グラム陰性S字状桿菌で、微好気性菌になります。
家畜、家禽類の腸管内に生息し、鶏肉などの食肉、臓器や飲料水を汚染します。
鶏肉等の食材中ではほとんど菌が増殖することがなく、乾燥にきわめて弱く、通常の加熱調理で死滅します。
原因食品としては、食肉(特に鶏肉)、飲料水、生野菜、牛乳等があり、主に鶏肉の生食を介した食中毒が多くみられます。
潜伏期間は、は1?7日 (平均3日)と長いため、原因食品がなかなか判明しない場合もあります。
主症状は、発熱、倦怠感、頭痛、吐き気、腹痛、下痢、血便等がみられます。
腸炎等の症状は重くなく、一般に予後は良好であるものの、感染後に神経疾患であるギラン・バレー症候群を発症することもあるので注意が必要です。
予防法としては、調理器具を熱湯消毒し、よく乾燥させることや、肉と他の食品との接触を防ぐことなどが重要です。
食肉・食鳥肉は十分な加熱として、中心部を75℃以上で1分以上加熱することが大切です。