白内障は、だれもが知っている病気ですが、意外と正しく理解している人は少ないのが現状です。
一方、眼科医療機器会社が40歳以上の男女300人に、「シニア世代の目の健康に関する意識調査」を行い、そこで、健康なシニアライフを送るために最も大切なのは五感のうち視覚であると回答した人が、なんと83%もいて、次点の味覚の9.6%を大きく上回っていました。
にもかかわらず、白内障の症状について、正しく理解されていない部分もあるという結果がでています。
白内障は80歳代ではほぼ100%の人が罹患する
白内障は、水晶体に濁りがでてくる疾患です。
目の病気というと失明が怖いもので、白内障と聞くと失明してしまうのではないかと不安になる人もいますが、白内障で手術が必要なほど進行してしまうケースは、70歳以上で6~7%と言われています。
白内障の症状の多くは、加齢性のものであり、その割合は患者全体の約7割を占めています。
白内障は、40歳代では約30%、60歳代では約60%、80歳代ではほぼ100%の人が罹患し、そのリスク、疾病率は加齢をとともに上がっていきます。
これに対し、シニア世代の目の健康に関する意識調査では、80歳以上になると100%の人が白内障を発症すると認識していた人は、全体の約8%にすぎませんでした。
白内障による症状の認知度の差
白内障になると、どのような症状が出てくるのかということですが、シニア世代の目の健康に関する意識調査によると、白内障の症状として認知されているものと、あまり認知されていないものの差は非常に大きくなっています。
ものがぼやけて見える、白っぽくかすんで見えるといったものを白内障の症状としてあげた人は、6割以上いましたが、ものが二重・三重に見えるという症状をあげた人は13%、近くのものや文字がみえやすくなるという症状をあげた人は4.8%と、あまり認知されていない症状もあるようです。
白内障の発症
白内障は、加齢などにより水晶体が濁り、網膜にうまく光の焦点が結ばれないことにより視力が低下してくる病気です。
目に入ってくる映像は、角膜を通って、水晶体で屈折し、網膜で像を結ぶのですが、水晶体が濁ってくると、屈折がうまくいかず、網膜でしっかり像を結ぶことができなくなってしまうのです。
若者の目の水晶体は、透明性を保っていますが、蛋白質の分子が加齢に加えて、紫外線や酸化などの誘発因子によって大きくなっていき、水分に溶けにくくなり、水晶体の中のアミノ酸が光によって酸化し、濁りやすくなっていきます。
目の水晶体が濁ってしまう原因としては、糖尿病やアトピー性皮膚炎など、いろいろな原因が考えられますが、ほとんどは加齢によるものが原因で起こってきます。