化学性食中毒で最多のアレルギー様食中毒 | 健康トピックス

化学性食中毒は、細菌やウイルス、寄生虫などによって起こるのではなく、食品原料または食品に本来含まれていないはずの有害化学物質による汚染、混入、生成などによって発生する食中毒になります。

化学性食中毒が食中毒の全体に占める割合は、わずか1%ですが、中毒による死者も出ています。

多いヒスタミンによる中毒

ヒスタミンというと、アレルギー性皮膚炎などで皮膚を痒くする原因物質ですが、このヒスタミンを原因とするアレルギー様食中毒が、化学性食中毒の中では圧倒的多数を占めていて、発生件数では化学性食中毒の約8割、患者数では化学性食中毒の96%が、ヒスタミンによるアレルギー様食中毒になっています。

また、アレルギー様食中毒は、1件当たりの患者数が約20人と多く、集団中毒が多いことがわかります。

ちなみに、アレルギー様食中毒以外の化学性食中毒の原因としては、洗剤の混入や誤用、消毒剤や漂白剤の混入などがみられていて、人為的なミスによるものといえます。

赤身魚によるアレルギー様食中毒

赤身魚のヒスタミンによる食中毒は、アレルギー症状によく似た中毒症状が出ることから、『アレルギー様食中毒』と呼ばれています。

ヒスタミンが新鮮な赤身魚に含まれているのではなく、筋肉中の遊離ヒスチジンが細菌のヒスチジン脱炭酸酵素によってヒスタミンになります。

白身魚のヒラメやタイでは、ヒスチジンの量が数㎎~数10mg/100gなのに対し、赤身魚では700~1800㎎/100gと非常に高いため、アレルギー様食中毒の主な原因食材は赤身魚ということになります。

ちなみに、食品中のヒスタミン顔料が100㎎/100g以上だと一般的にアレルギー様食中毒が発症するとされていますが、摂取量も重要になってきます。

アレルギー様食中毒の原因となった魚としては、サバ・マグロ・ブリ・イワシなどがあります。

ヒスタミン様食中毒と普通の魚のアレルギーの違い

ヒスタミン様食中毒の場合、食してから数分から30分くらいで症状が出てきます

症状は、顔面、特に口の周りや耳たぶが紅潮し、頭痛やじんましんがあり、発熱などの症状がでてきます。

通常は、6~10時間で回復して、死亡することはありません。

魚を食べてアレルギーを起こすというと魚類アレルギーがありますが、この場合は、免疫系を介して肥満細胞や好塩基球といった細胞から遊離されたヒスタミンによって起こってきます。

しかし、アレルギー様食中毒の場合は、赤身魚に蓄積したヒスタミンの直接作用によって症状があらわれてきます。

ヒスタミンは熱に対しても安定ですので、刺身はもちろん、干物、フライ、照り焼き、加熱品でも中毒が起こります。

ヒスタミンには辛味があり、赤身魚を食べた際に、辛味がしたりピリピリとしたいつもと違う感じがしたら鮮度が良いといわれていても食べないほうが無難です。

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