新型コロナウイルスの潜伏期や感染力
潜伏期:平均5.2日
感染力:1人の感染者が感染させる2次感染者数は平均2.2人
この数字はあくまでも平均値なので、もう少し詳しくみる必要があります。
中国で猛威を振るっている新型コロナウイルスですが、厚生労働省からQ&Aが出ています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
情報は、令和2年1月31日時点となっていて、今後更新されていくものと思われます。
海外でも50本以上もの新型コロナウイルスに関連した論文がでています。
The New England Journal of Medicine では、新型コロナウイルスの潜伏期や感染力について調査した論文が出ているのでご紹介します。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2001316
2020年1月22日までに報告されたNCIP(新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染による肺炎)の検査で確認された中国河北省武漢で最初に確認された425症例のデータを分析した結果が出ています。
年齢の中央値は59歳になっていて、56%が男性というバックグランドになっています。
新型コロナウイルスの潜伏期ってどのくらいなの?
このThe New England Journal of Medicine の論文によると、平均潜伏期間は5.2日、4日~7日の潜伏期間という結果になっています。
なんだ、潜伏期間って1週間なんじゃないか! 中国当局の発表では2日~14日って言っていたし、あれはウソなの?と思うかもしれませんが、けしてそうではありません。
4日~7日というのは、95% confidence interval とあるので95%信頼区間、つまり潜伏期間が4日~7日である確率が95%であるということです。
95th percentile of the distribution (95パーセンタイル)について、つまり100人の感染者を潜伏期間の短い順で並べていったとき、95番目に潜伏期間が長い人の潜伏期間は、12.5日ということになっています。
つまり、だいたい4日~7日の潜伏期であるけれど、まれに2週間ぐらいの潜伏期を持つ場合もあるということが言えます。
新型コロナウイルスの感染力ってどのくらいなの?
よく、はしかよりは感染力がないが、そこそこの感染力はあると言われている新型コロナウイルスですが、実際はどうなのでしょうか。
論文によると流行初期の段階では、7.4日ごとに2倍の感染になっていました。
論文中に「serial interval」が平均7.5日となっています。
この「serial interval」というのは、一次患者の症状が発現してから、二次患者の症状が発現するまでの間、つまり一次感染の期間です。
患者が発症し、その患者がうつした患者が発症するまでに約1週間あるということになります。
ただ、この「serial interval」の95%信頼区間は、かなりばらつきがあり、5.3日~19日になっています。
つまり一次感染の期間は95%の確率で、5.3日~19日となっています。
論文では「basic reproductive number」も記載されています。
「basic reproductive number」とは、ずばり1人の感染者が感染させる2次感染者数です。
つまり1人が何人に感染させるかということですが、平均で2.2人という結果がでています。
95%信頼区間でみてみると、1.4人~3.9人となっていて、95%の確率でおおよそ1.5人~4人に感染させるという結果になっています。
たしかに空気感染するはしかに比べれば低いのですが、それなりに警戒するレベルではあるかもしれません。
今後の見通し
幸いにして、日本では死者はもちろん、重症患者は出ていません。
また、国立感染症研究所が新型コロナウイルスの分離に成功したという発表もありました。
新型コロナウイルスの分類成功により、今後のウイルス対策がかなり前進しました。
ワクチンの開発については、数年規模で、体内に抗体づくり予防が可能になると思われます。
治療薬の研究・開発については、早くて3か月以内に開発ができ、HIVの抗ウイルス薬など4~5種類の候補があるらしいです。
簡易検査キットの開発についても、早くて3か月以内で、多くの場所で短時間で判定が可能になる見込みだそうです。
最新のニュースでは、タイ保健省が新型コロナウイルスに感染し10日にわたり症状が悪化していた重症の肺炎患者である中国人に、インフルエンザ治療薬と抗エイズウイルス(HIV)薬を組み合わせて投与したところ、48時間以内にコロナウイルスが消え回復したという報道もあります。
治療に使われたのは、ロピナビル・リトナビル、タミフルでした。
ロピナビル・リトナビルに関しては、プロテアーゼ阻害薬として、細胞内に侵入したコロナウイルスのmRNAの翻訳によって複合蛋白質を生成するのに必要なプロテアーゼという酵素の働きをブロックすることで、コロナウイルスの増殖を蛋白合成を抑え込みます。
タミフルについては、インフルエンザに対する薬として使用されますが、新型コロナウイルスへの作用機序については不明な点も多く、まだよくわかっていません。