食中毒の原因となる寄生虫クドアとは | 健康トピックス

クドアは、ヒラメなどの筋肉に寄生している寄生虫で、ヒトにはヒラメを生食することで感染します。

症状は一過性の下痢や嘔吐がみられます。

クドアの感染ルート

クドアは、粘液胞子虫と呼ばれる寄生虫の仲間で、分子分類学的にはクラゲの仲間に分類されています。

クドアは、ヒラメとミミズやゴカイなどの環形動物を宿主としていて、ヒラメの筋肉内に寄生したものは星形の胞子の状態で存在しています。

胞子の直径は約10μmなので肉眼でみることはできません。

ヒラメが死んだあと、環形動物がヒラメの筋肉と一緒にクドアの胞子も食べ、その消化管内でクドアが増殖し、その後、再びクドアは海中に放出されます。

海中に放出されたクドアは、ヒラメの皮膚からヒラメの筋肉内に侵入して増殖していきます。

こうしてクドアが寄生したヒラメを生食で食べることにより、ヒトに感染します。

以前は、国内のヒラメ養殖場から食中毒が多く発生していましたが、対策が進められたことから国産養殖場からの食中毒発生は激減しています。

食中毒を引き起こすレベルのクドアの胞子量は、約10の7乗個とされていて、このレベルのクドアが寄生しているヒラメは、市場に流通しているヒラメの数万尾に1尾程度と言われています。

しかし、ヒラメ1gあたり10の6乗から7乗個の奉仕が寄生していたケースもあり、ヒラメの刺身一切れ約10gを食べただけで、発症する可能性もあります。

クドアに感染するとどうなる

クドアに感染したときの症状は、激しい下痢と嘔吐です。

クドア食中毒は、圧倒的に夏に多く、70%が夏季に発生しています。

ヒラメを食べてから、2~12時間以内に発症しますが、この短い潜伏期間がクドア食中毒の大きな特徴にもなっています。

幸いなことに、ヒトの腸管内では、温度や浸透圧などクドアに生存に適していないうえ、胆汁に対して強い感受性があるので、クドアはヒトの腸管内では長期間生存できずにすぐに死滅します。

したがって、症状は一時的なもので24時間以内には症状は治まり、対症療法のみでこれといった特別な治療も行われません。

クドアに感染予防対策

クドアは冷凍や加熱に弱く、冷凍や加熱処理によって死滅します。

しかし、ヒラメは生食のものが美味く、冷凍に肉質が低下してしまうことから、冷凍処理をあありせずに生食で食べられる機会が多くなっています。

国内養殖のヒラメに関しては、養殖段階で感染させないための対策がされていて、輸入ヒラメに関しては、輸入国で出荷前にクドア感染の検査を行い、日本の検疫所ではクドアのモニタリング検査が行われています。

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