漢方生薬には、『骨』という文字が入った生薬がいっぱいあります。
骨のある生薬(植物編)
鶏骨草(ケイコツソウ)は、マメ科Abrus cantoniensisの全草を乾燥させたもので、含有成分としてはアブリン、 コリン、 ステロール化合物、 フラボンが知られています。
骨砕補(コッサイホ)は、ウラボシ科ハカマウラボシの根茎を乾燥させたものになります。
地骨皮(ジコッピ)は、ナス科クコの根皮で、クコアミンB、シュウ酸カルシウム、デンプンといった成分が含まれていて、血圧降下作用や解熱効果、血糖降下作用を持っています。
透骨草(トウコツソウ)は、トウダイグサ科ダイダイグサの全草を乾燥したものになります。
川骨(センコツ)は、スイレン科コウホネの根茎で、主要成分はヌファリジンで利尿作用を持っています。
変わったものとしては、接骨木(セッコツボク)という生薬があります。
名前からすると、いかにも接骨院とかででてくる石膏のイメージをしてしまいますが、実はスイカズラ科ニワトコなどの茎枝になります。
骨のある生薬(動物編)

動物性のもので「骨」という漢字がつく生薬として、烏賊骨(ウゾクコツ)があります。
烏賊骨は、漢字から想像できるとおりコウイカ科コウイカの貝殻(甲骨)を乾燥させたもので、炭酸カルシウム、 リン酸カルシウム、 リン酸マグネシウム、 塩化ナトリウム、 膠質といった成分が豊富に含まれています。
虎骨(ココツ)は、 ネコ科トラの骨格を乾燥させたものになります。
竜骨(リュウコツ)は、大型哺乳動物の化石化した骨で、炭酸カルシウムやリン酸カルシウムといった成分が豊富に含まれています。
竜骨は本当に恐竜の化石
竜骨は、生薬ラテン名は Fossilia Ossis Mastodi になっていて、大型哺乳動物の化石化した骨となっています
。
Fossilia は、ラテン語で化石という意味になります。
Ossis の os は「骨」のことです。
英語では「骨」に関連した用語には os が付くことが多く、骨粗鬆症(osteoporosis)などもその一つです。
竜骨は、主成分としては炭酸カルシウムやリン酸カルシウムで、中枢神経抑制作用を持っています。
竜骨を使った漢方薬は、桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)と柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)が知られています。
竜骨は、恐竜の化石であると考えられていますが、実際のところそんな大型哺乳類の化石がゾロゾロあるわけではありません。
生薬として流通しているのは、シカやゾウ、ウシ、ウマ、ブタ、サイといった哺乳動物の化石が用いられています。