パニック障害は、昔は不安神経症の一部として取り扱われていました。
しかし、まとまった症状の特徴から、独立した病気としてとらえられるようになり、1980年にパニック障害と命名されるよういなりました。
パニック障害でよく見られるパターン
突然の激しい動悸などに見舞われ、それに胸苦しさや息ぐるしさが加わると、死ぬかと思うほどの恐怖に襲われ、多くの場合は心臓発作などを疑って慌てて救急車を呼びます。
しかし、救急車で病院に着いたころには症状が治まってしまっていてなんともないといったケースもあります。
おまけに念のためにと言われて受けた検査でも特別な異常はなく、そのまま帰されることになります。しかし数日経たないうちに、また同じような状態になります。
予期不安と広場恐怖
救急車を呼んだにもかかわらず、病院についたころには症状が治まり、検査をしても何も異常がなく帰されたものの、数日経たないうちに同じような症状になると人間はいろいろなことを考えてしまいます。
この前は何ともなかったし、またすぐに救急車を呼ぶと、そのうちオオカミ少年になってしまうのではないだろうかと変な気を遣ったりします。また発作が起きていないときも、またいつ起こりはしないかという不安が常に頭をよぎるようになります。これが予期不安というものです。
またもし発作が起きたときに、人が多くいる場所などだと、恥ずかしいし他人に迷惑をかけるしということで、そういった場所や状況を恐れて避けるようになってしまいますが、これが広場恐怖というものです。
治療の前に考えたい生活習慣の注意
パニック障害の原因ははっきりしていませんが、脳内ノルアドレナリン系の過敏・過活動や、脳内セロトニン系の機能不全といった脳機能異常が原因として有力視されています。
こうした脳機能異常が起こりにくいように、普段から規則正しい生活を心がけることも大切です。できればアルコールやカフェインなどの嗜好品は症状を悪化させることがあるので控えたほうが良いでしょう。
パニック障害の人は、炭酸ガスやカフェイン等に過敏で、発作が誘発されやすいという報告もあり、過労や睡眠不足、日常でのストレスが発作を誘因することが知られています。こうした刺激を避けることも大切です。
パニック症候群の多くは薬物療法が有効
パニック症候群の治療には、心理的な治療法と、薬物療法が大きな柱となっています。薬物療法でもいくつかの薬が使用されます。
パニック症候群の薬物療法
パニック症候群の場合は、第一選択薬として抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が用いられます。
服用初期には、イライラ・悪心や不安といった副作用が出ることがあるので、少量より服用していき、初期の段階のみ、抑吐薬や抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)などが併用したりします。
もしセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が合わない場合は、別の抗うつ薬(三環系抗うつ薬)が処方されたりします。
薬物療法の場合は、少し症状が改善したからといってすぐに止めてしまうのではなく、100%発作がなくなることを当面の目標としますので、半年から1年は良好な状態を維持できれば、そこではじめてゆっくりと薬を減量していきます。