将棋や囲碁では、AIがプロを負かしたという話題がよく上がります。
それでも、将棋の藤井壮太プロなどが打つ手は、AIが予想できなかったりするものです。
AI自体が人間が作り出したもので、過去の膨大な資料をインプットして、その中で効率的な打ち手を計算するということをやっています。
つまり、過去のデータが良くなければダメですし、プログラムする時点で、最良のアルゴリズムを組まなければ上手くいきません。
麻雀はAIには複雑で難しい
将棋や囲碁は、盤上にある駒や碁石、手持ちに持っている駒が全てわかっている、いわば『完全情報ゲーム』です。
ですので、相手の取った駒を自分のものにして盤上に打ったり、駒が成って機能が変わったりといった複雑な面があったりしますが、それでも麻雀に比べたらAIとしてはハードルは低いでしょう。
麻雀の場合は、『不完全情報ゲーム』で、運7割といった側面もあります。
運7割といっても、技能・実力3割なので、対局数が少なければ、運が良ければド素人がプロに勝つことも簡単にできますが、対局数が増えると、やっぱり実力がある人が力を発揮してくる傾向になります。
それはさておき、麻雀は、34種136牌でゲームを進めていきますが、ゲームが始まったときに分かる情報は、親の場合でも、14枚+1枚のドラ表示牌のみです。
しかもゲームが進んでいっても、通常は最後までめくられることがない王牌が14枚もあります。
したがって情報が少なすぎるので、少ない情報で判断しなければならず、AIが苦手とする分野でしょう。
牌効率という考え方
麻雀には牌効率、いかに打てば聴牌まで早く到達できるかという打ち方があります。
どれが不要牌か、どの牌を残せば確率的に効率がいいのかといったことになります。
しかし、麻雀の場合、鳴かれたり、相手が捨てた牌によって、その局面局面情報が変化してきます。
しかも、いくらAIでも、相手が聴牌しているかどうかは100%読み切れませんし、何筋も残っている無筋の中から安全牌を探せといっても、当たる確率では出せるかもしれませんが、はっきりとは出すことができません。
また、打ち手のクセによっても変わってきます。
同じ捨て牌であっても、この人はまずこの待ちでリーチしてはこないとか、この人のリーチだからこそここは危ないといったものもあり、こうした一人一人の打ち手のクセまでは、AIはなかなか対処できません。
牌効率以外の要素
単純に、麻雀は、他人よりも早く聴牌し上がってしうのが勝ちという考え方でいうと、放銃リスクなどを度外視して徹底的に牌効率を重視して打てば、聴牌する回数や上がれる回数は増やせるかもしえれませんが、麻雀は4人でやるものですし、他人より早く聴牌できなかったときに、どうリスクを回避していくのかという問題があります。
もちろん、AIで分析すれば、安全牌度・危険牌度を、手配や河から計算して見えてる情報の中から考えることはできると思いますが、情報としては不完全になります。
プロになると、一見牌効率だけ考えれば疑問符が付くような打牌でも、点差を考えて守り重視の打牌であったり、あとあとの待ちや出やすさからの選択であったり、河に迷彩をほどこすためのものだったりします。
またプロの中には、牌を捨てるタイミング、表情、理牌のクセ、手出しの牌がどの場所から出てきたかなどを観察していて、それで聴牌してそうだとか、たぶん待ちはあそこからの手出しだから、萬子の両面待ちっぽいとか、他の情報と合わせて推測してりしていたりするので、ただ画面上の牌の動きだけでは説明できない技術を持っていたりするかもしれません。
将来的には、そこまで考慮にいれるAIが登場してくるのかもしれませんが、どうなのでしょうか。