私たち人間が語学を学習しようとしたとき、年齢が若いほうが有利であり、特に赤ちゃんはどんな言語の発音にも反応できると言われています。
逆に大人になればなるほど、母国語以外の言語に対する音の聞き取りなどが苦手になっていきます。
脳のしくみを考える
どうして、大人になると母国語以外の言語に対する音の聞き取りが苦手となってしまうのか。これこそ年齢が高くなればなるほど外国語の習得が難しくなるという1つの要因です。
脳は使えば使うほど成長し、使わなければ使わないほど退化していく器官です。そして赤ちゃんのときはどんな言語の発音にも反応できるのは、脳のしくみと大きな関係があるのです。
神経細胞が一番多いはずの赤ちゃんはなぜしゃべれないのか
人間は胎児の時が一番神経細胞が多く、その後はどんどん神経細胞が減っていくと言われています。
それであれば、赤ちゃんは大人よりもいっぱい神経細胞があるはずなので、単純に神経細胞数だけで比較しようとすると、赤ちゃんが一番頭が良いということになってしまいます。
ところが、脳の神経細胞は、数ではなく効率的につながっていることが大切なのです。
私たちの脳は、側頭葉にある聴覚野というところで音を聞き分け、下側頭回とう部分で見たものを認識し、そうやって耳や目から入ってきた情報を記憶と照らし合わせることで、それが何であるかを認識してい、長期記憶として定着させいく働きがあります。
そしてこれらの記憶に関連した脳の器官は、神経細胞という脳のケーブルで網の目のようにつながっていきます。いろいろなことを経験することでこのつながりは強固なものになっていき、長期記憶にもつながっていきます。
繰り返して、海馬から側頭葉の長期記憶へ
例えば、会社のパソコンのシステムにログインするためのパスワードなどは、毎日使うものですが、毎日使っている中で特に覚えようとしなくても自然と海馬から側頭葉に長期記憶として移行されて、覚えているようになります。
そしてこうした一連の流れをしている脳の器官は、別々に働いて着るのではなく、神経細胞をケーブルで網の目のようにしてつながっています。
経験をもった大人であれば、この神経細胞のつながりがたくさんありますが、赤ちゃんの場合は、まだこの神経細胞のつながりがあまりありません。
神経細胞が多いのに、赤ちゃんが大人に比べて知識が少ないのも、経験ということもあるのでしょうが、こうした神経細胞と神経細胞のケーブルのつながりが少ないからとも言えるでしょう。
脳は成長していく過程で、この神経細胞と神経細胞のつながりということを最優先していきます。そしてケーブルができていく段階で、たくさん使われるケーブルを太くし、あまり使われないケーブルは断線していっています。
だからこそ、脳は使えば使うほど良いと言われるは、こうした理由からです。