ストレスを完全になくすことの難しさ | 賢脳トピックス

ストレスは体にとって良くないものというイメージがありますが、ストレスは人の体にとって欠くことのできない大切なものでもあるのです。

そしてだからこそ、ストレスを完全になくすことは難しいしくみが体に備わっているのです。

もしストレスがなくなったら

物のありがたみというのは、実際にそのものがなくなってわかったりするものです。
そこで、ストレスがいかに大切なものかということを証明するために、ストレスをなくすという実験が行われています。

もしストレスがなかったらヘビもクモも怖くない

サルを使った実験なのですが、サルの扁桃体を外科的に切除して、ヘビを目の前に出したのです。
扁桃体は恐怖を感じる機能を司っていますし、サルも人間同様に、ヘビを見れば普通は恐怖心を感じるものです。

ところが、扁桃体を切除されたサルたちは、ヘビの恐怖心や警戒心を感じるどころか、興味津々でヘビをつかんで振り回したりしておもちゃのように遊んだのでした。

つまり、ヘビに対して、危険であるとか恐怖とかいうものを感じなかったのです。

人間においても、病気によって左右の扁桃体が両方とも損傷していた女性が、以前はヘビやクモは嫌いだと言っていたのに、ペットショップで平気でヘビやタランチュラを触ったという事実があります。

その女性はペットショップの店員がヘビが噛みつくかもしれないと注意したにもかかわらず、少しもひるまずにヘビを触り、恐怖の程度を10段階で答えるように言うと、2と回答しました。

ヘビやクモが怖くなくても羨ましくはない

ヘビやクモも怖くなく、ホラー映画をみたってへっちゃら。
恐れや心配ごとが何もなく、何が起きても楽天的でいられるなんて、どんなにいいだろうと羨ましく思う人もいるかもしれません。

ところが、恐れや心配ごとが何もなく、何が起きても楽天的でいられるということは、裏を返せば自ら危険な状況に飛び込むようなこともしてしまうのです。

ナイフや銃をむけられ金品を奪われたり脅されたりすれば、恐怖心がでてきて要人深くなり、今後そうした場所は避けるようになるものですが、そういった危険を判断できなくなっていれば、またそういう場所に出かけていき、同じような危険な目に何度もあってしまうのです。

強力な扁桃体

このように扁桃体は人間が危険な目にあうのを避け、リスク回避するのに重要な役割を果たしています。
危険に遭遇した時に、扁桃体が警告を発してストレス反応のエンジンとして働くのです。

扁桃体が重大な脅威と判断すれば、海馬や前頭葉が作用しても止めることはできません。
サバンナで猛獣に出くわした時、攻撃したほうがいいかな、それとも丸腰だし逃げたほうがいいかななんて前頭葉を使って理性で考えようとしていたら取返しのつかないことになってしまいます。

扁桃体が主導権を握って、脳をハイジャックして攻撃するにしろ逃げるにしろすばやく行動を起こすようになっているのです。

このように扁桃体とストレス反応のシステムが強力にできているので、ストレスを完全になくすことは難しいといえるのです。

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