ヒトの能力は遺伝子で決まるのか | 賢脳トピックス

よく、人間の脳は、遺伝子によって決まっていると言われます。

父親も母親も賢い場合、子供も賢くなり、父親も母親も賢くない場合は、子供もそれほど賢くならないなんていう人もいます。

人間の能力は生まれつき遺伝子などで決まっているのでしょうか。

人間の能力と関係が深いNCAN遺伝子

ごく少数、IQ200なんていう天才児があらわれたりして、生まれつき優秀な人というのは確かにいます。

ドイツのフィリップ大学での研究によると、NCAN遺伝子という脳の神経細胞の繋がりに深く関係している遺伝子を持っている人と持っていない人では、記憶力に大きな差が出るという結果が認知機能テストによって出ています。

NCAN遺伝子は、人の名前や誕生日など、言語によって得られる情報への記憶力、つまり言語記憶力と深く関係しています。

NCAN遺伝子には、AA型、AG型、GG型の3つのタイプがあります。

AA型の遺伝子は、言語記憶力が低いタイプで、伝聞した情報が脳に伝わりにくく覚えにくさを自覚する傾向があります。

AG型の遺伝子は、言語記憶力がやや低めのタイプで、語呂合わせなど特定の言語情報に対する記憶は大丈夫なものの、覚えにくいものが存在します。

GG型の遺伝子は、言語記憶力が最も高い傾向にあるタイプで、伝聞した情報が耳に残って離れないほどの記憶力を持ちます。

遺伝子が記憶力が悪いタイプだからとあきらめる必要はない

確かに、NCAN遺伝子の違いはありますが、大切なのは、この遺伝子のタイプだけで人間の記憶力が決まるわけではありません。

人間の持つ記憶力というのは、訓練で向上することが可能であるということです。

人間は、脳の使い方を習得することで、最初はなかなか記憶できなかったとしても、次第に元から記憶できる人達と大差なくなってくるのです。

行動遺伝学の第一人者である慶應義塾大学教授の安藤氏も、親の特徴がそのまま子供に引き継がれると考えるのは、よくある誤解であると指摘しています。

人間の才能は、遺伝と環境が結びついたときに発現するのです。

だから、「うちの家系はもともと頭が良くないから」などと思ってあきらめているのは非常に大きな誤解なのです。

すぐれた記憶力の持ち主ってどのぐらいすごいのか

世界には、「世界記憶力選手権」という記憶力を競う大会があり、記憶力自慢の人達が競っています。

記憶力に関する10種類の競技があります。

例えば、顔写真と名前をどれだけ一致させて記憶できるかとか、どれだけ単語を記憶できるかなどが競われます。

世界記録保持者の人は、なんと15分間で187人もの顔写真と名前を一致させて記憶して言い当てたそうです。

記憶力は、トレーニング次第で誰でも伸ばせるものです。

選手権に出てきている人達も、日頃から練習を積み重ねた努力の結果として、優れた記憶力をゲットしているのかもしれません。

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