人間が人間たる所以、知力の源、前頭前皮質 | 賢脳トピックス

人間は、他の動物に比べて、鋭い爪や牙をもっているわけでもなく、足が速いわけでもありません。

それなのに、生き残ってこれたのは、知力のおかげです。

そして、その知力と深く関係しているのが、大脳の新皮質です。

大脳新皮質と前頭葉

『大脳新皮質』は、ものを知覚したり、運動を制御したり、未来の予想、計算、推理などといった、まさに知性を司る部位なのです。

大脳新皮質は、その厚さは約2mm前後と非常に薄いシート状の組織で、新聞紙1枚を広げたくらいの大きさになりますが、これが、しわしわに折りたたまれて頭蓋骨の中に格納されいて、畳んだときに、表面に出ている部分が、『脳回・回(gyrus)』と呼ばれ、奥に入り込んでいき外からでは直接見えない部分が『脳溝・溝(sulcus)』と呼ばれています。

大脳新皮質を、脳溝とそれぞれが担う機能によって、大きく4つの領域、いわゆる『大脳葉(lobe)』に分けたのが、『前頭葉』、『頭頂葉』、『側頭葉』、『後頭葉』の4つになります。

『頭頂葉』は運動や皮膚感覚を司り、『側頭葉』は見聞きしたものが何かの認識をすることを司り、『後頭葉』は視覚の処理を司っていて、『前頭葉』は物事の判断や計画など知力と関係が深いものを司っています。

脳の中の脳

『前頭葉』の前側の領域には、『前頭前皮質』という部分があり、『前頭連合野』・『前頭前野』・『前頭顆粒皮質』などと呼ばれることもあり、これが人間の人間たる所以である場所とも言われています。

『前頭前皮質』は、『脳の中の脳』と呼ばれている重要な部分になります。

人間は、非常に高度な脳の働きをしています。

自律神経系の交感神経と副交感神経のバランスをとり、コミュニケーションにおいて相手の心の状態を読み取り共感したりすることができます。

また、感情のバランスをとり調整をし、相手の身になって考えたりする思いやりを示すこともできます。

いろいろな過去の蓄積された記憶を手掛かりに現在・過去・未来をつなぎ合わせて、将来を洞察する洞察力も備えています。

自分のことばかあり考えず行動できる道徳性も備えています。

これらは、感情・記憶・行動の抑制という、さまざまな高度な精神活動が必要になってくるのですが、それを司っているのが、『前頭前皮質』になるのです。

誘惑に打ち勝つ知力

知力が高いということは、一時的な感情や欲望に流さらず、それを抑える力があるということもできます。

誘惑を目の前にしたときに、思慮深く考え、その誘惑に対して、ゆっくりと対処する力が、必要で、それを司っているのが『前頭前皮質』になります。

これに相反するのが、喜怒哀楽などの感情を司る『大脳辺縁系』で、意欲や情緒といったどちらかというt本能に近い感情を司っている部分になります。

『前頭前皮質』は、誘惑に打ち勝つ力を司る重要な部分ですが、ストレスやプレッシャーにとても弱く、少しでもストレスがかかると意思決定機能を『大脳辺縁系』に受け渡してしまうことから、感情にうったえかけるほうが人々の心にささり、賛同を得られやすいのかもしれません。

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