ギャンブルと統計は深い関係があります。
そもそも、統計学の一つの分野である推測統計学のベースとなっている確率論は、どうしたらギャンブルに勝つことができるだろうかというギャンブラーの疑問から始まっています。
ギャンブラーが誰でも考えること、運や感覚に頼るのではなく、正確な確率をしることで論理的に勝率を上げたいということから発展していきました。
そして、ガリレイやフェルマーなどの偉大な数学者たちにより確率論が生み出されました。
だいたいギャンブルは損するようにできている
ちなみに、ギャンブラーの夢を壊すようなことを言うと、統計学的に考えると、ギャンブルに勝つのは無理までいわなくても至難の業です。
だいたいギャンブルとはディーラーのほうが儲かるようになっているから成り立つわけであって、ギャンブラーたちにお金を配る慈善事業でやってるわけではないからです。
そのため、統計学的に、確率論的には、ギャンブラー側が負けることにあるわけです。
とはいっても、もしかしたら、自分だけは、1000人のギャンブラーが損をする中で、ごく一握りの儲かるギャンブラーになれるかもしれないというのがギャンブラーの夢になるのでしょう。
もちろん、一回勝負とかであれば、運で勝つこともできますが、同じことを何度も繰り返すうちに、勝ち分がどんどん減っていき、最終的には損をしてしまうという仕組みになっています。
もっと簡単に考えると、勝つ確率が50%のゲームがあって、ディーラーと勝負します。
1回の掛け金が1万円、あなたの軍資金は10万円、ディーラーは1億円もっているとします。
どちらが先に破綻するかは火を見るより明らかです。
あなたはどっちのギャンブルをする?
ここにサイコロがあります。
出た目の数にしたがって賞金がもらえるとします。
参加料は1回3500円で、あなたは手持ちの4000円を6000円にしたいと考えています。
<ゲームA> 出たサイコロの目と賞金は次のようになっています。
1 ⇒ 1000円
2 ⇒ 2000円
3 ⇒ 3000円
4 ⇒ 4000円
5 ⇒ 5000円
6 ⇒ 6000円
<ゲームB> 出たサイコロの目と賞金は次のようになっています。
1 ⇒ 0円
2 ⇒ 0円
3 ⇒ 0円
4 ⇒ 4000円
5 ⇒ 7000円
6 ⇒10000円
このゲームは統計学的に考えてみる
統計学的にゲームAとゲームBを考えて、それぞれの期待値と標準偏差を求めてみます。
期待値とは何かというと、そのゲームを無限に繰り返したときに、1回当たり平均して受け取ることができる賞金額になります。
標準偏差は、賞金のばらつきを意味していて、この標準偏差が大きいほどギャンブル性があるということになります。
期待値については、ゲームAもゲームBも、景品総額が21000円で、出る目の数が6通りなので、3500円になります。
標準偏差を求めると、ゲームAでは1700円、ゲームBでは3900円となります。
つまり、ゲームAもゲームBも、多数回やればやるほど賞金金額が3500円になります。
したがって、4000円を6000円にするには、3500円の参加費を払って、5か6の目が出ることを祈って1回だけサイコロを振るのが一番確率が高いことになります。
しかしこの場合、1~3の目がでてしまったら、きっぱりあきらめるしかありません。