8月3日は、ハチミツの日ということで、ハチミツに関して知っておかなければいけないことをご紹介します。
1歳未満の赤ちゃんはハチミツNG
薬剤師であれば、当然知っていなければいけないこととして、ハチミツによる乳児ボツリヌス症があります。
ボツリヌス症の原因
ボツリヌス症(botulism)とは、芽胞を形成する偏性嫌気性グラム陽性桿菌であるボツリヌス菌 (Clostridium botulinum) が作り出すボツリヌス神経毒素 (botulinum neurotoxin)という毒素によって全身の神経麻痺を生じてくる神経中毒です。
どうしてボツリヌス毒素が全身の神経麻痺を起こすのかというと、コリン作動性神経末端からのアセチルコリンの放出を抑制することで、神経から筋肉への伝達が障害されてしまうからです。
乳児ボツリヌス症とは
乳児ボツリヌス症は、1歳未満の乳児にみられるボツリヌス症です。
ハチミツは、植物・ハチ・ホコリの中の細菌によって、あるいは蜜の採集や加工過程で汚染される可能性があります。
しかしハチミツの中には殺菌力がある成分があるため汚染力の強い微生物でも生存・増殖することができません。
しかし、ボツリヌス菌に関しては胞子(芽胞)などが生存するために、乳児がハチミツを口にして乳児ボツリヌス症が起こることがあるのです。
米国の医療用ハチミツにおいては、放射線店社をして細菌胞子を不活化をしていたりします。
乳児では、ボツリヌス菌の芽胞を摂取してしまうと腸管内で菌が増殖してしまい、そこでボツリヌス毒素が産生され、その毒素が吸収されてボツリヌス菌による症状を起こしてしまいます。
乳児ボツリヌス症の症状は、便秘状態が数日間続き、全身の筋力が低下する脱力状態になります。
おっぱいを吸う力が低下したり、泣き声が小さくなる等、筋肉が弛緩することによる麻痺症状が特徴としてあります。
ほとんどの場合、適切な治療により治癒しますが、まれに死亡してしまうこともあります。
ですので、乳児ボツリヌス症の予防のため、1歳未満の乳児には、ボツリヌス菌の芽胞に汚染される可能性のある食品(ハチミツ等)を食べさせるのは避けなければなりません。
1987年10月、厚生労働省(当時は厚生省)が1歳未満の乳児には蜂蜜を与えないようにとの通知を出してからは、ハチミツを原因とする乳児ボツリヌス症の事例は減少しています。
1歳以上になり、離乳食等を口にするようになると腸内環境が整う時期となってくるため、ハチミツを避ける必要はなくなってきます。
ハチミツに注意しないといけない人
ハチミツを口にしてはいけない人ということで、1歳未満の乳児をあげました。
妊婦や授乳婦については安全だと考えられています。(ナチュラルメディシン・データベースより)
花粉アレルギーの人に関しては、アレルギー反応がでるかもしれないので注意が必要です。