労働衛生に関する法律 | 薬剤師トピックス

『労働衛生』とは、いろいろな職業における環境条件や作業条件において、いろいろな理由で不健康な状態を作り出す可能性があるものに対して、職業に起因する疾病を予防し、健康を維持していくための方法を明らかにして実行していくことにあります。

労働衛生とは

WHO(世界保健機関)、ILO(国際労働機関)は、1960年に、『労働衛生』に関して、その概念を公表しています。

①あらゆる職業に従事する人々の肉体的・精神的・社会的副詞を最高度に増進し、維持することを目的とする。

➁労働条件によって起こるおそれのある疾病を医学的立場から予防する。

➂職場にある有害環境条件から作業者を工学的に保護する。

④作業者の生理的、心理的特性に適応する労働条件下で働きうるように人員を配置するものである。

以上の概念が発表されていて、公衆衛生対策の基本にもなっています。

日本の労働衛生関連法

日本では、労働衛生に対しては、『労働基準法』『労働安全衛生法』といった法律があり、これらに基づいて、労働者の職業性疾病の予防や健康の保持増進、快適な職場環境の形成などをもう滴にして、いろいろな対策が施されています。

労働基準法は、1947年に制定・施行されていて、戦前の各種労働者保護法令が集大成されました。

労働基準法で、医療関係者と関連が深い部分をみると、年少者の就業制限、妊産婦等の就業制限、災害補償などについてがあげられます。

また、労働者が業務上の負傷や疾病を負った場合、その災害補償として、療養補償・休業補償・障害補償あどが規定されています。

実際に、補償に関しては、労働者災害補償保険法に基づいて、保険によって給付されることが多くなっていて、労災保険が適用とならない場合に労働基準法に基づく給付が行われることになっています。

1972年になると、労働基準法の安全衛生に関する規定や労働安全衛生規則等を集約する形で、労働安全衛生法が制定され、健康障害防止対策や快適な職場環境の形成などが目標とされました。

労働衛生の3管理

労働衛生安全法では、労働衛生の3管理と労働衛生教育が積極的に勧められました。

そのおかげで、職業性疾病も急速に減少していき、1975年には、作業環境から有害因子を軽減・除去する作業環境改善を目的として、作業環境測定法が制定されました。

労働衛生の3管理とは、作業環境管理、作業管理、健康管理の3つになります。

1978年には、労働安全衛生法が改正され、化学物質の有害性調査を制度化し、さらに1999年の改正では、化学物質による労働者の健康障害の防止を図るため、化学物質の有害性に関する情報などを記載した『化学物質等安全性データシート(MSDS:Material Safety Data Sheet)』の交付義務が譲渡・提供者に課されるようになっています。

さらに、2005年には、長時間労働者に対する医師による面接指導やリスクアセスメントの実施の努力義務が課されるとともに、労働安全姿勢マネジメントシステムの導入促進等が行われました。

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