『音声鑑定』は、グラフ化された周波数を分析して、音声を特定していく鑑定法ですが、声紋分析と音声分析に分けることができます。
声紋分析と音声分析の違い
声紋分析は、人の声そのものを分析して、この声とあの声が同一人物であるかどうかの個人識別に使われる鑑定法になります。
声紋分析は、非常に信頼度が高い鑑定法になります。
音声分析と声紋分析の一番の違いは、人の声を分析するのか、人の声以外を分析するのかの違いです、
声帯を振動させただけだと個人識別できない
人間の声は、肺から出た空気が声帯を振動させることで出てきます。
しかし、この段階だと、無数の周波数が重なった単なる「ブー ブー」というだけの高低差だけの音であり、個体差はありません。
つまりこの段階だと、個人識別をすることはできません。
ところが、この音が、咽頭や口腔、鼻腔を通る間に、共鳴・増幅するために、さまざまな周波数をもつ意味のある声となって出てきます。
そこで個人が識別できるようになってくるのです。
これは、トランペットのマウスピースだけをふいても、「ブー ブー」としか聞こえないのと同じで、トランペット本体をつけることで、美しい音色を奏でることができるのと似ています。
人は、それぞれ声道器官の長さや形、舌の丸め方などによって広さが変化する口腔や鼻腔、歯並びなどによって固有の声が生まれてくるのです。
すぐれもののサウンドスペクトログラフ
声紋は声の諮問ということで、声の高低や強弱、時間的変化を濃淡模様で描き、その微妙な差を目で見える指紋のような形にして識別します。
個人差のある声を、ソフトで処理し、周波数の代償によって配列したグラフが、声紋スペクトログラムになります。
そして、声紋による個人識別をする周波数分析装置を、サウンンドスペクトログラフまたはソノグラフと言われ、これが犯罪捜査に使われています。
このサウンンドスペクトログラフ(ソノグラフ)は、同じ言葉の音声データでなければ、声紋同士の比較はできません。
声だけでない音声鑑定
音声鑑定は、声紋の識別だけではなく、それ以外の音声分析も利用されます。
科捜研の女などでは、音声分析で、乗用車のエンジン音や街の騒音などのノイズをコンピューターで処理し、場所を特定できそうな特長のあるごくわずかな特定音の成分を分析しているシーンなどがでてきます。
例えば、背後にかすかに電車が走る音が聞こえ、その音の特長や他の情報からいろいろと場所を特定していくのです。
背景音である駅の構内放送やスーパーやコンビニの店内放送から浮気のウソがバレたなんていう話もありますが、声紋分析以外に、背景音の音声分析も非常に重要な情報になっているようです。