ねえねえ、「ピザ、ピザ、ピザ・・・」って10回言ってみて!
そして言い終わると、いきなり肘を指して、「ここは?」と質問をします。
するとたいへいの人は、「ひざ」と答えてしまうものです。
意外と引っかかる10回ゲーム
このようにある言葉を10回言わせて、誤答を誘因するといったことは、子供の遊びの中でよく行われていますが、大人でも簡単に引っかかってしまいます。
しかも、10回ゲームには、いろいろなバリエーションがあったりで、なかなかのものです。
「ホッカイロ、ホッカイロ、・・・」と10回言わせておいて、「日本で一番北にある県は?」というと、多くの人が「北海道」と答えてしまいます。
一番北にある県なので、正解は「青森県」なのですが、なぜか「北海道」と答える人が多いのです。
「キャンパス、キャンパス、・・・」と10回言わせておいて、「角度を測るのは?」と聞かれると、もちろん正解は「分度器」なのですが、つい「コンパス」と答えてしまいます。
もっと単純でひどいのになると、「カバ、カバ、カバ、・・・」と10回言ってみてと言われ、その後、「逆立ちすると?」と尋ねられ、「バカ」と答えると、正解は、「逆立ちしてもカバはカバ」というものです。
プライミング効果
カバはともかくとして、ヒザにしても、北海道にしても、なぜ簡単に言い間違えてしまうのかというと、心理学的に説明すると『プライミング効果』が働くからだそうです。
『プライミング』とは、「誘発するもの」という意味で、ある情報が直前に脳に刷り込まれると、それがその後の思考に影響を与えてしまうことを『プライミング効果』といいます。
日常でも利用されているプライミング効果
このプライミング効果は、結構効き目があるので、実際の社会においても活用されています。
例えば、プロ野球では、最終回にリリーフピッチャーが登場してきますが、この時、スタジアムには耳になじんだ登場曲が盛大に響き渡りますが、あれも『プライミング効果』を利用したものらしいのです。
リリーフピッチャーは、登場曲を聞くことで、「よし、今日もいつも通りに完璧に抑えるぞ!」という気持ちが高まりますし、観客も「よし、これで勝てる!」とボルテージがどんどんあがっていきます。
企業もさりげなく、この『プライミング効果』を利用してマーケティングに応用しています。
最近では、しつこく売り込むと嫌われてしまうので、顧客にきづかれずさりげなくPRするマーケティング手法がいろいろと研究されていますが、間接プライミングを応用した方法で、商品に関連するアンケートを取るという手法があるのです。
例えば、「健康のために、何か心掛けていることはありますか?」みたいなアンケートととることで、これがプライマーになり、「健康によい食品を買う」という行動に顧客を誘導するのです。
直接アピールしていないので、顧客の抵抗もなく、PRができるというわけです。