人間の思考を考える上ではずせないのが、推論になります。
人間の推論とそのしくみ
『推論』とは、辞書を引くと「既知の事柄を基準として未知の事柄を論じること」と出てきます。
つまり、既にわかっている利用できる情報から、結論や新しい情報を求めていく思考過程が『推論』と言えます。
推論は、論理的推論と語用論的推論の2つに大きく分けることができます。
『語用的推論』とは直接言葉としては表現されていない部分も含めて、いろいろと考えながら結論を出していくもので、皮肉などのような間接的な言語行動を理解していく過程などがこれに該当します。
『論理的推論』は、『演繹的推論』と『帰納的推論』に分けられます。
『演繹的推論』とは、三段論法に代表されるように、一般的な前提から個別の結果を推論していく思考過程になります。
具体的なパターンを示すと、AはBである(前提1)、CはAである(前提2)、CはBである(結論)といった形があります。
『帰納的推論』とは、いくつかの事実の中から類似点を見出し、その類似点をもとに推論していく思考法で、必ずしも正しい推論が導かれるとは限りませんし、複数の結論が出る場合もあります。
例えば、試験に合格したA君は1年前から勉強していた(事実1)、試験に合格したBさんは1年前から勉強していた(事実2)、試験に合格したCさんは1年前から勉強していた(事実3)、試験に合格した人は1年前から勉強している(結論)というのが、『帰納的推論』ですが、この例の場合は、必ずしも正しいとは言えないでしょう。
問題解決とそのしくみ
社会に出てからも、いろいろな問題に対して『問題解決』していかなければなりませんが、この問題解決していく過程においても、思考が重要になってきます。
そして、『問題解決』に関しては、その方法として『試行錯誤学習』と『洞察学習』があります。
『試行錯誤学習』は、いわゆる「トライ&エラー」で、試行の積み重ねによって問題解決に至る学習過程になります。
動物を迷路に入れ、出口にエサを置いておくと、最初はいろいろと出口に到達するまで時間がかかりますが、そのうち出口につながる正しい選択だけをするようになっていきます。
『洞察学習』は、深い洞察と全体的な状況の理解によって、突然問題解決に至る学習過程になります。
チンパンジーを部屋に入れ、手の届かないところに吊り下げられたバナナをどうとるのかという実験をしたとき、チンパンジーはいろいろ試行錯誤するのではなく、しばらく考えた後、突然ひらめいたように部屋の片隅にあった空き箱を積み上げてバナナをGETしたというようなものが『洞察学習』になります。
意思決定
『意思決定』においても、思考が重要になってきますが、『意思決定』は、複数ある選択肢の中から1つを選ぶことになります。
そして、この意思決定をするためには、選択肢を比較して順序を決める必要があります。